私の住んでいる場所は地方の保守的な土地柄で、イトーヨーカドーやジャスコが出店したのも他の土地と比べてずいぶん遅かったと思う。地元の商店街やスーパーを守るため、有形無形の規製がかかっていたようだ。
今は郊外に大型店があるのは當たり前の時代になったけれど、我が家の近所にはたまたま今でもそういう全國展開の大規模店がなく、毎日の買物はほとんど地元のスーパーで済ませている。しかもこのスーパーが優れた店で、安さ一番、庶民の味方。近年の不景気でそれが評判を呼び、大きさとしては中規模ながら、土日には車が列をなし自転車置き場がいっぱいになるほどにぎわっている。
というわけで(どういうわけだかよくわからないけど)、外資係のスーパーに足を踏み入れたことは一度もなかった。
それで、北京でフランスのカルフールとアメリカのウォルマートというスーパーへ立ち寄ってみたら、見慣れぬ光景に圧倒された。
都會に出てきた田舎のねずみみたいに、ものめずらしさに目を見開いて、きょろきょろうろちょろ。きっとあんまり寫真を撮っちゃいけないんだろうなぁ、と思いつつ、人目を盜んで撮った。都會の人たちにとってはめずらしくもなんともないだろうけれど。
下の寫真はすべてカルフール(中國語名:家楽福)です。
スッポンだよ。これは中國ならでは?
送迎用の無料バス。店內やバスも原色の色使いが目に鮮やか。
カルフールはほとんどの人がカートを使って、かごいっぱいに買物していた。これは多分、この場所が街の中心部からはちょっと外れていたからで、ホテルの近くの大型スーパー(名前を忘れた)や、繁華街にあるウォルマートでは一點二點だけといった買物をしてる人もたくさんいた。
この日、義妹に、カルフールを見てきたけどすごいね、と言ったら、苦い顔をして、
「カルフールは評判悪いけど。」
というので、
「え?どうして?お客さん、たくさんいたよ。」
と聞くと、
「最近、値段の偽裝があって。セールの値段をごまかしてたって。割引率を大きく見せかけてたとか。」
「へえ」
「それだけじゃなくて、人間関係が悪いみたい。上司が部下に向かって暴言を吐いたり、暴力を振るったりするって。
あと、品物を納入させるメーカーに対して橫暴で、値引きを強要したり、拒むと取引停止だったり。小さいメーカーは泣く泣く諦めるけど、あるインスタントラーメンのメーカーはカルフールの要求を拒んで商品が入れられなくなったけど、人気がある商品だから、品物がないとやっぱり困るってことになって、カルフールの方が負けたんだって。」
「へえ、でも、そういうのって、テレビのニュースでは流れないでしょう?どうして知ったの?」
「ネットで。」
義妹は特に、労使関係について憤っていたようで、盛んに「人ってみんな平等でしょう!?」と言っていた。
この言い方が実はちょっとおもしろいと思った。労使関係のいざこざと、人が平等であることの結びつきが、私にはどうもぴんとこなくて、そこを結びつける理屈がなんとなく日本人とは違うものの考え方のような気がしてならない。或いは彼女固有の考え方かもしれないけれど。
まあ、それはともかく、中國のカルフールに実際に義妹が言ったような問題があるのかどうか、真偽のほどは私にはわからない。(値引きの強要に関しては日本の大規模店にもありそうな気がする。)ただ少なくとも、ネットにそのように批判が出回る事情がカルフールにあるのではないかという感じはした。