犬への対し方
(2010-04-02 21:27:08)
下一個
犬に対しては犬に対するようにしなければならないと、彼が言った。それは確かにひとつの見解である。けれどなかなかそうはできない。生まれ持った性分か、生まれ育った環境か、犬にさえ、つい愛想を振りまきがちになる。
犬とは絶対にわかりあえないと、彼は言う。道理を説いても無駄だ。犬には犬への対し方というものがある、と言う。けれど、私には犬に対する対し方というものが身に付いていない。しかたがないので、偶然犬に出くわしたなら、なるべく早めに回り道して避けるのだ。
しかし、昨今では犬と人間の區別もつきにくい。犬も洋服を著るし、家の中に住むし、車にも乘る。犬が犬らしくふるまうならば、災いも避けやすいのだが。
犬と人間をいっしょくたにしがちな私のメンタリティーと、犬と人間をきっちり分ける彼のメンタリティーの違いは、もしかしたら、沙羅雙樹の大樹の下で情によって眾生が結ばれているお國柄と、上下関係によって私とあなたをきっちりと分け隔てる孔子のお國柄との差異かもしれないと思った。