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中國大使館領事部

(2011-01-24 21:38:56) 下一個

 先日、久しぶりに東京へ出かけてきました。
 中國大使館へと足を運びました。近くにあるギリシャ大使館やルーマニア大使館の前は閑散として人っ子ひとりいないのに、中國大使館のある通りへと曲がると、打って変わって三々五々の人の群れが続き、中國語が耳に飛び込んできます。
 50mくらい手前のT字路に警官がひとり、大使館前にもひとり。領事部の入り口では、飛行機に乘るときのように、セキュリティーチェックを受けました。數年前はこんなに警備が厳しくなかったので、これは昨今の日中関係のせいでしょうか?
 中も人でいっぱい。1階は手続きを終えたパスポートの受領と手數料の支払いの窓口で、2階が申請窓口です。
 エレベーターで2階に上がり、降りてすぐのところにガラス張りのブースがあり、中に製服の女性が一人、座っています。まずここでどうしたらいいか訪ねたり、必要な資料を教えてもらったり、記入済みの書類をチェックしてもらって、提出すべき書類や資料がすべて整っているのが確認されたら番號劄をくれます。
 病院の待合室のような長椅子に座って待っていると番號を呼ばれるので、奧の方に6つほどある窓口のひとつに書類を提出します。

 初めの受付のブースにいる女性の手際がすごくよくて、感心することしきり。てきぱきてきぱき。次から次へとひとりひとり違うことを聞いてくるのだろうに、自在に答えています。受付のブースは一つしかなく途切れなく人が上がってくるので列が短くなることはないのだけれども、対応が早いから並んだ後はそう待たずに順番が回ってきます。
 政府機関でこんなにてきぱきと見事に働く中國人を見ることは滅多になく、後から考えると確かに少し違和感がありました。けれど、自在に中國語を操っている様子はとても中國人以外には見えなかったので、夫に、
「あの人、中國人だよねぇ。」
と確認すると、
 「日本人だよ。発音がネイティブじゃない。」
とのこと。
 えーっ!と思ってそばでしばらく聞き耳を立てていると、日本語には日本語で対応していて、その発音に、あ、日本語のネイティブだ、と気づきます。さらに、英語で尋ねる人には英語ですらすらと答えている。
 私が彼女のことを中國人以外には思えなかったのは、言葉が技術的に流暢だというだけでなく、受け答えの物言いや態度が実にざっくばらんで、遠慮がないというせいもあります。日本風のまわりくどさ、慇懃さ、へりくだったしとやかさが全然ない。それが対応の早さにつながっている。簡潔な中國語で、ここがだめ、何が足りない、こうして、ああして、と直截的に指示しているので、長ったらしい日本語よりずっと時間が節約できます。
 主客に隔たりのない中國的な合理主義と、仕事に対する日本的な真麵目さ熱心さとが見事にミックスされたすばらしい能力に心から感服しました。世の中には優秀な人がいるものです。

 手続きを終え、建物を出ると、夫が言いました。
 「日本にこんなにたくさんの中國人がいるんだから、日中関係が修復できないほど最悪の狀態になるなんてことは、絶対にないと思うな。日本と中國はもう切っても切れない関係にある。むしろ今みたいにちょっとトラブルがある方が、お互いに言いたいことを言えて、いいかもしれないね。」


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