上海では新城飯店というホテルに泊まりました。
新城飯店 Metropole Hotel
住所:200002上海市黃浦區江西中路180號(福州路口)
TEL:+86-21-63213030
FAX:+86-21-63213030
1988年に一度上海を訪れたことがあります。今回の上海訪問はその時以來です。以前泊まったホテルにとてもよい思い出があるので、その思い出のホテルに今回ぜひ泊まりたいと思いました。それが新城飯店です。
22年前の旅もまた、一人旅でした。予約なしにホテルを訪れ、フロントで、今夜泊まりたいのだけれども、と切り出しました。當時中國のホテルの部屋はたいていツインで、シングルが一部屋もないホテルが多く、新城飯店もそうでした。しかし部屋代は一部屋いくらの料金なので、予算の限られていた私は「包房(バオファン)=部屋を一人で占有すること」をしないから部屋代を半額にしてくれないかと言ってみました。するとフロントの女性は、「そうね、もし日本人の一人旅の女性が來たら相部屋にしてあげるから、まだ時間も早いことだし、荷物を置いて後でまた來てみて。」と言うのです。それで私はフロントに荷物を預け街に出ました。夕方戻ってきてみると、フロントの女性は私の顔を見るなりにっこりして、「來たわよ。日本人の女性でひとりの人が。」と自分のことのように喜んでくれました。
一階のレストランでは地元の人の結婚披露宴でにぎわっていました。エレベーターのドアはフランス映畫に出てくるような格子戸で手で開け閉めします。部屋に入ると、床は年季の入った板張りで、天井がものすごく高く、こんなに贅沢で広々とした部屋に泊まったのは初めてです。大きくてがっしりとした書斎機、テーブルも椅子も、それから貓足のバスタブも、ひとつひとつの調度品がクラシカルで重々しく、空間の使い方にゆとりがあって、まるでヨーロッパのホテルのよう。
當時で既に開業から60年近く経つ歴史のあるホテルで、過不足のない心のこもったサービスが感じられました。予備知識もなく値段と場所だけで選んだホテルが思いの外すばらしかったのです。
…或いは歳月が記憶の中に幻のホテルを建築したのか、そう思わせるほど、現実の(今の)新城飯店に昔の麵影はなく、ごく普通の中國のホテルとなっていました。
トリップアドバイザーというサイトの
新城飯店に関する口コミ情報をまとめると、“昔は格調高いホテルだったが、今はクラシカルな建物の概観だけを殘して部屋の設備やサービス內容ともに中級のビジネスホテルである。”ということです。(建物自身は古くて重厚なので、日本のビジネスホテルのような無機質な感じではありませんが。)ちなみに星は三ツ星です。
この2枚は部屋の窓から撮った交差點の向かいのビル(福州大樓)の寫真ですが、新城飯店はこのビルと雙子のビルで、二つの建物はほとんど同じ形をしています。ホテル概観の寫真を撮るのを忘れたので參考までに。
私が泊まった部屋です。
実は、最初キーを渡された部屋は、福州路の交差點側でない北側のシングルでした。
フロントでキーを渡され、荷物を運んでもらえるのかとちょっとボーっとしていたら、エレベーターはあっち、と指差され、あ、そうか、自分で運ぶんだと、ころころ荷物を転がして10階の部屋に著きました。部屋に入った途端、これは違うと。狹くて暗くて、ベッドだけでいっぱいいっぱいの部屋、窓の外は隣の建物の薄汚れた灰色の壁が目の前に迫っていました。思い出のホテルとは変わっているだろうことは、旅行前から覚悟していましたが、せめて部屋の広さだけは確保したかった。そこで荷物を手から離すことすらせずに、くるりと踵を返し、またころころ荷物を引きながら一階のフロントへと戻りました。
次に見せてもらった部屋も同じ北側のツインだったので、たいして変わりはありません。3番目に案內されたのが寫真の部屋です。
部屋のチェンジをお願いしたとき、追加料金を払っても構わないからと告げたのですが、結局この日の一泊分は追加を取られませんでした。一週間後北京から再び上海に戻り同じ部屋にもう一泊したときは、前より少し高い金額を支払いました。
これは部屋のドアの內側に張ってあった10階の見取り図です。そもそも建物の形が真四角ではないので、部屋の形も大きさもばらばらです。北側に狹い部屋がいくつかあります。シングルだとその部屋になると言われましたが、宿泊費は一部屋いくらなので、シングルでもツインでも部屋代はそう変わりありません。どの部屋に泊まるかで、ホテルに対する印象が大きく異なってしまいます。
北京に滯在中、夫に
「新城飯店はどうだった?」
と聞かれ、
「うーん、サービスの質はひとえに対応した従業員の人柄に寄る。たまたま愛想がよくて親切な人に當たればいいけど、いいかげんな人に當たるとやる気があるんだかないんだか。たぶん従業員の教育の問題だと思う。」
「やっぱりね。僕も人に聞いてみたんだけど、評判がよくなかった。新城飯店は、錦江飯店や和平飯店と同じ錦江グループが経営してて、錦江も和平も老舗中の老舗、歴史のある高級有名ホテルで、同じグループなのに変だよな。でもまあ國営だから、そういうところがあるのかも。」
という話でした。私も後から調べてみると、錦江グループは株式會社なので國営ではないと思うのですが、もと國営ということでいわゆる“お役所的”な気質が殘っているのかもしれません。
<宿泊費>
2010年4月12日 一泊 6,056円 日本のサイトから予約、支払い
2010年4月18日 一泊 500人民元(7,000円) 現地払い
ツインがこの料金なら悪くないと思います。ただしこれは萬博前かつゴールデンウィーク前のオフシーズン料金で、前出のトリップアドバイザーというサイトによると平均で一萬円くらいらしいです。一萬円以上になると、値段の割にはちょっと…、と不満を感じる確率が高くなるかもしれません。たまたま機嫌の悪い従業員に出くわしたりしたら特に。
すべてのお客様に平等にいつでも同質のサービスを提供できるようにするということは、実はちゃんとした組織的な努力があってのことなのだということに思い至りました。全世界でスマイルをゼロ円で売ってるマクドナルドは偉大だ。
そうそう。私はその「味がある」ところが個人的には好きです。でも烏鎮の評価もそうなんだけど、私の好みと一般的な日本人の好みはどうもずれるみたいなので、お勧めできる自信がない。
私は賭け事にはまるタイプかも。負けてもともと。勝てば大儲けのわくわく感が魅力的。はは。。。^^;
料金的には高くない?相場がわからないものだから、どうなのかなって思って。
従業員の質はスロットマシンだと思って、その日のウンだと思ったほうがいい。