繋いだ右手だけが殘る(夢の話)
(2009-05-27 21:55:04)
下一個
夢の話。
高層ビルの上の方の階にいる。私はそこからエレベーターで降りていくが、一気に降りるのではなく、一階一階止まってフロアに出てから再びエレベーターに乘り込んでいく。エレベーターの出入り口から見通しのいいフロアを見渡すと、ビジネススーツを著た男女が盛んに行き來していた。
私がひとつの階に降りるごとにその階で何かトラブルが起きる。トラブルの內容が何なのかはっきりとはわからないが、トラブルの原因がどうも私にあると疑われているような気がして、追われる不安で、逃げるようにしてふたたびエレベーターに乘り込む。そんなことを一階一階繰り返しながら、とうとう一番下の階に出た。
ビルの出入り口のガラスのドアの前で検問が行われている。この検問をどう突破しようと思っていたら目の前を5,6歳の女の子が歩いていた。私は、そうだ、この子と一緒だと裝えばいいと思い、女の子の橫に並び、連れのようにして歩調を合わせる。案の定、見咎められることなく無事ドアを抜けることができた。
ドアを出ると、目の前は外ではなく広い吹き抜けの空間になっていて、天井はガラスのドームで、私のいる場所から更に下の空間に飛行機が止まっていた。
大統領機だ、と思うと同時に、私は女の子と手を繋いで走り出し、吹き抜けのテラスから下の飛行機に向かって飛び込んだ。
その瞬間大爆発が起こり、何もかもが吹き飛んで目の前が真っ白になった。
意識が上へ昇っていく。細胞がばらばらになって徐々に大気中に拡散していくようだ。肉體を実感できない。意識だけが上へ上へと向かっていく。
私の右手に柔らかく小さな手が握られているのに気づく。肉體の存在を見失った中で、女の子の手の感觸だけが生々しくしっかりと殘っていて、私の右手もまたそのことによって形を成していた。