2008 (142)
2009 (130)
2010 (94)
2011 (140)
小阪修平の『はじめて読む現代思想』(芸文社)によると、ニーチェは、「生の目的は何かと問うて、生の目的は生だというのは無意味だ」と言っているそうだ。「なぜなら、その言い方はトートロジー(同義反復)にすぎないから」。
太宰治の『ヴィヨンの妻』で、妻は「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」と言い、夫は「こわいんだ。こわいんだよ、僕は。こわい!たすけてくれ!」と生の不安を叫ぶ。
女は生の內側で生を肯定して生き、男は生の外側に生の根拠を求めようとするのだろうか。
では、生の目的は何か。ここに當時の進化論の影響をみる人もいるのですが、ニーチェはより大きく、強くなること、だと言いました。つまり、生の中心をなすのは「力への意思」だと言うわけです。(『はじめて読む現代思想Ⅰ』より)