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恐ろしい夢を見た。夢の中で、私はこれが前にも見たことのある同じ夢だということを知っている。結末も知っている。実際に本當に見たことのある夢なのかどうかはよくわからない。けれど、夢の中では、私はこれが2度目であることを知っていた。
私は鉄筋コンクリートの學校のような大きな建物の中で、敵から逃げるために隠れ場所を探している。敵は戦闘服を身に付けた大勢の武裝集団で、建物の中の善良な人々を老若男女の區別なく虐殺するために、銃器を手にやってきている。刻一刻と近づいてきている武裝集団から逃れ隠れるために、私は部屋から部屋へ、窓から窓へと移動する。敵から遠ざかるために建物の奧へ、そして高くへと。
私は上手く隠れおおせて、彼らの手にかかって殺されることは免れる。そして彼らの後からやって來た統製の取れた正規の軍隊に投降し捕虜となるのだ。私は逃げながらこの結末をとうに知っていて、自分は殺されはしないことを承知しているのだが、一方でもしかしたら今回は異なる展開になるかもしれないという一抹の不安を抱いている。
建物を移動する途中で、私とともに逃げていた盟友であるはずの一匹の犬が突然離反した。前回は最後まで私についてきていたのに、今回は途中で、まるで
「貴方は何を怖がっているの?何の危険もないというのに。」
とでも言うかのように、無邪気な顔で自由になりたがった。私は、好きにするがいい、と思った。ぐずぐずしている時間はない。
このことは私の不安を更にかき立てた。この逃走劇は前回と全く同じというわけではないらしい。
體育館のように広い最後の部屋にたどり著くと、人々が集まっていた。皆の顔に切迫感はない。それぞれ靜かに、思い思いの場所に座っている。私は彼らにもうすぐ敵がやってくること、隠れなければならないことを警告してから、壁の戸棚をよじ登った。いつの間にか犬の代りに私の後ろには小さな男の子がついてきている。私と男の子は背の高い戸棚と天井との間を歩いていき、ガラクタが積んであるロフトのような天井下の空間にたどり著いた。私は小さな男の子をガラクタの中に座らせてから、少し離れた場所に蹲って敵が現れるのを待つ。前回と違って今度は見つかってしまうかもしれないという不安がどんどん高まっていく中で、私はじっと息をひそめて待った。
敵が姿を現す前に、私は目が覚めた。
目が覚めた私の胃は、お腹に石をいっぱい詰められた赤ずきんちゃんの狼のように、重く沈んでいた。口の中は、ざらざらと乾いていた。