NTTは27日、ドアや窓サッシの隙間から敷設できる超薄型の光ファイバーケーブルを開発し、來年1月にも実用化することを明らかにした。ケーブル設置のために壁に穴を開ける工事の必要がなく、これまで設置が困難だった古いアパートやマンションにもインターネット接続で、高速大容量の光通信サービスを提供できる。年間數千世帯での導入を見込んでいる。
曲げられる光ファイバーはNTTのアクセスサービスシステム研究所(茨城県つくば市)が開発した。
従來の光ファイバーは曲げすぎると、光信號(情報)が外部に逃げ、通信障害を引き起こしていたが、光信號の伝送経路の周囲に微細な空気孔を配置し、空気を反射材にして光信號が外部に逃げないようにした。
光ファイバーの両脇に繊維強化プラスチックと鉄線を並べ、ケーブルの「曲げ」に対する強度を保持。配線方法によっては最大180度まで曲げることも可能だ。厚さは2ミリ程度で研究所では「わずかな隙間さえあれば、大半の世帯で導入が可能」という。
築年數が経過したマンションなどでは、建物の壁に穴を開けることを嫌うオーナーも少なくない。新開発のケーブルの場合はオーナーの理解も得やすく、NTTでは「導入が一気に進む」と期待している。
すでに製造準備も始めており、NTT東日本と西日本が來年1月下旬にも実用化する。ブロードバンド(高速大容量)通信サービス加入者の純増數は、ここ6カ月でKDDIグループがNTT東西を上回っている。新開発のケーブル導入で、顧客獲得のてこ入れを図る考えだ。