2005 (265)
2011 (1)
2012 (354)
2013 (600)
中國の不動産市場が崩壊の兆しをみせている。中國當局が発表した4月の主要70都市の住宅価格動向は前月の水準を下回る都市が増え、価格が上昇した都市でも値上がり率が鈍るなど、頭打ち感が顕著だった。景気の先行き懸念に住宅供給過剰が追い打ちを掛けており、アナリストの一部は不動産バブルの崩壊が始まっていることを示唆している。
価格下落傾向が鮮明
中國國家統計局が発表した4月の住宅価格動向(低所得者向けを除く)によると、新築、中古とも前月の水準を下回る都市數が増加した。
新築物件の価格が前月比で下落したのは8都市で、都市數は前月の倍。特に浙江省は不動産投資が盛んな溫州をはじめ、金華、杭州、寧波の4都市がそろって下落。最も高い下落率は杭州市の0?7%だった。
一方、上昇したのは44都市だが、3月調査(56都市)より減少。最高の値上がり幅は福建省廈門市の0?4%にとどまり、北京、上海、広州、深●などの第一級の大都市に限ると上昇幅は0?1~0?3%に過ぎなかった。
前年同月比で新築の不動産物件の価格上昇率を見ても、北京11?2%(3月調査では13?0%)▽上海13?6%(同15?5%)▽広州11?2%(同13?4%)▽深●11?2%(同13?0%)と、いずれも3月段階の調査を下回り、減速傾向が鮮明になってきた。
中古住宅市場でも、前月比で値上がりしたのは35都市と、3月調査より7都市減少する一方、下落は8都市増えて22都市となった。
溫州市が前月比で0?6%下落するなど浙江省の4都市が下落したほか、江蘇省の無錫市と揚州市、山東省の青島市と済南市でも下落。首都?北京市でも0?2%下落した。
「4月4割ダウン」…黨も認める真実、「GDP伸び率を下回る!」
不動産取引も鈍化
中國の複數メディアは不動産取引の鈍化を伝えている。
中國共産黨中央委員會機関紙「人民日報」のインターネット部門「人民網」は、北京市統計局のデータを引用。それによると、今年1~4月の市內の分譲物件の販売麵積は522萬9千平方メートルで前年同期比3?5%減少したという。ちなみに第1四半期(1~3月)は同10?3%増となっており、4月が激減したことを示している。
同市の分譲住宅では、販売麵積は383萬2千平方メートルで同17?7%減。4月単月では118萬7千平方メートルで同41%もの減少となっており、4月下旬以降、取引量の落ち込みが目立っているという。
取引件數ではどうなのか。同市の不動産取引管理ネットワークがまとめたデータによると、4月下旬の分譲住宅売買成約件數は1日平均291件にとどまり、同月上?下旬の平均約460件を大幅に下回ったという。
不動産の価格動向は頭打ちの傾向にあっても売れていないのだ。
すでに崩壊中か?
野村證券の関連會社は5月上旬、衝撃的なリポートをまとめた。中國の不動産市場は「調整(下方修正)が、もはや『有るか無いか』ではなく、『どれほど深刻になるか』のレベルに達している」としている。つまり、中國は不動産バブルの崩壊が進行中と示唆したのだ。
複數の経済アナリストは、中國の國內総生産(GDP)の16~20%が不動産投資によるもので、世界各國の中でも異質な偏りが中國経済の最大の弱點と指摘している。野村のリポートは、最悪のシナリオをたどった場合、中國のGDPの伸び率が6%を下回ることもあり得るとした。
「中國はすでに不動産バブル崩壊が進行中」野村係リポートの驚愕內容…中國GDPの1/5が“弾ける”
中國の不動産は“バブル”と呼ばれて久しいが、このバブルが膨れ上がったのはいつのことか。それは、2008年のリーマン?ショック後に中國政府が行った4兆元(約66兆円)もの緊急経済対策といっても過言ではない。
この資金がハコものや鉄道などのインフラに回り、金融緩和政策を背景に民間の不動産ブームに火をつけた。これが土地の異常な高騰や住宅などの過剰供給につながり、不動産バブルをふくれあがらせた。國策の失敗以外の何者でもない。
中國経済の崩落は必ず世界経済に影響を及ぼす。世界経済の平穏のためにも、中國がソフトランディングを目指すべきなのは言うまでもない。ただ、國內でのテロ事件への対処、國際的に非難を受ける尖閣諸島や東南アジアでの無理な領有権の主張など、中國は內外に問題を抱え、身動きがとれなくなりつつあるようにもみえる。
中國の自浄に頼らず、今から準備できることは何なのかを、各國は真剣に考えておくべきだろう。