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朝日新聞デジタル 4月11日(金)5時43分配信
STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化學研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーの指導役の笹井芳樹氏(52)が朝日新聞の取材に「STAPはreal phenomenon(本物の現象)だと考えている」とこたえた。小保方氏の現狀については「こうした事態を迎えた責任は私の指導不足にあり、大変心を痛めた」と心境を説明した。來週中に會見を開く方針。
【寫真】
笹井氏は理研発生?再生科學総合研究センターの副センター長で、ES細胞(胚(はい)性幹細胞)から體の組織をつくる研究の第一人者。小保方氏とともに主要著者の1人になっている。記者が1月末の論文発表時に直接取材したあと、先月中旬から4月9日まで、メールで複數回、研究の経緯や論文の疑問點などをやり取りした。
小保方氏は9日の會見で「200回以上STAP細胞の作製に成功した」などと主張した。
一方で、専門家からの指摘では、STAP細胞が実は別の萬能細胞(ES細胞)が混ざったものではないかという疑念が多い。
これに対し、笹井氏は「他の萬能細胞を混ぜても、一つの塊にならない。実験をやったことのない人の機上の考えだ」と反論。ES細胞からつくれない組織がSTAP細胞ではつくれたことなどをあげ、「ES細胞では説明のできないことが多すぎる」「STAPが存在しないなら、私たちが再立証に力を入れることはない」と指摘した。ただ、小保方氏の會見や笹井氏とのやり取りでは、STAP細胞が存在するかどうか具體的な証拠は示されていない。
論文撤回に反対する小保方氏と違って、笹井氏は「信頼が失われたのは否めない。撤回は適切な判斷だ」として論文の撤回に同意している。撤回をめぐる話し合いは、「不服申し立ての結果が出るまで、難しい」とした。その上で、反対している米ハーバード大のバカンティ教授らとも「交渉、協議には時間がかかるだろう」との見通しを示した。
小保方氏の會見を見た感想について、笹井氏は「彼女の気持ちと考えを率直に語っていた。平素の小保方さんと同じ感じだった」とした。その上で「若い研究者の芽を枯らせかねない狀況になり、慚愧(ざんき)の念にたえない」と胸の內を明かした。
笹井氏は來週中に會見を東京都內で開く意向を示しており、「質問の集中砲火は覚悟して、會見に臨みたい」とした。
小保方氏の論文の畫像の捏造(ねつぞう)や改ざんを認定した理研の調査委員會は1日に公表した最終報告書で、笹井氏の不正は認めなかったが、「立場や経験からその責任は重大である」と指摘した。
2月に論文の疑惑が浮上してから、小保方氏ら國內の主要著者のうち公の場で見解を示していないのは笹井氏だけとなっている。
朝日新聞社