昔々あるところに、お寺がありました。
[むかしむかし ある ところ に、おてら が あり まし た]
Once upon a time, there was a temple.
そのお寺には、一人の和尚さんと、小僧たちが暮らしていました。
[その おてら に は、ひとり の おしょう さん と、こぞう たち が くらし て い まし た]
A priest and a few errand boys lived there.
その和尚さんは、甘いものが大好きでした。
[その おしょう さん は、あまい もの が だいすき でし た]
The priest loved sweets.
どうしても甘いものを食べたい和尚さんは、毎晩こっそり水飴を舐めていました。
[どう し て も あまい もの を たべ たい おしょう さん は、まいばん こっそり みずあめ を なめ て い まし た]
The priest, who really wanted to eat sweets, secretly ate millet jelly every night.
ある日、小僧たちが和尚さんの部屋に入ると、和尚さんが水飴を舐めていました。
[あるひ、こぞう たち が おしょう さん の へや に はいる と、おしょう さん が みずあめ を なめ て い まし た]
One day, when the boys entered the priest's room, he was eating millet jelly.
小僧たちは和尚さんに「何を食べているのですか?」と尋ねました。
[こぞう たち は おしょう さん に 「なに を たべ て いる の です か ?」と たずね まし た]
The boys asked the priest, "What are you eating?"
小僧たちに水飴をあげたくない和尚さんは「これは毒だ」と言いました。
[こぞう たち に みずあめ を あげ たく ない おしょう さん は 「これ は どく だ」と いい まし た]
The priest, who didn't want to give the boys his millet jelly, said, "This is poison."
和尚さんは「これは大人用の薬で、子供が舐めると死んでしまう毒なのだ」と言いました。
[おしょう さん は 「これ は おとな よう の くすり で、こども が なめる と しん で しまう どく な の だ」と いい まし た]
The priest said, "This medicine is for adults, and if children lick it, they will die."
小僧たちは和尚さんの部屋から出て行きました。
[こぞう たち は おしょう さん の へや から でていき まし た]
The kids left the priest's room.
その小僧たちの中に、一人、とても賢い子がいました。
[その こぞう たち の なか に、ひとり、とても かしこい こ が い まし た]
One of the boys was a very smart child.
彼は、一休という名前の小僧でした。
[かれ は、いっきゅう と いう なまえ の こぞう でし た]
He was a child named Ikkyu.
一休さんは他の子供たちに「良い考えがある」と言いました。
[いっきゅう さん は ほか の こども たち に 「いい かんがえ が ある」と いい まし た]
Ikkyu-san told the other children, "I have a good idea."
ある日、和尚さんは用事のためにお寺から出かけていきました。
[あるひ、おしょう さん は ようじ の ため に おてら から でかけ て いき まし た]
One day, the priest left the temple to attend to some affairs.
その隙に小僧たちは、和尚さんの部屋に忍び込みました。
[その すき に こぞう たち は、おしょう さん の へや に しのびこみ まし た]
While the priest was out, the kids sneaked into his room.
彼らは、和尚さんの部屋にあった水飴を、全て舐めてしまいました。
[かれら は、おしょう さん の へや に あっ た みずあめ を、すべて なめ て しまい まし た]
They ate all the millet jelly in the priest's room.
心配になった子供たちが、一休さんに「こんなことして、本當に大丈夫?」と尋ねました。
[しんぱい に なっ た こども たち が、いっきゅう さん に 「こんな こと し て、ほんとう に だいじょうぶ ?」と たずね まし た]
The worried children asked Ikkyu-san, "Is it really OK to do such a thing?"
一休さんは「大丈夫」と答えました。
[いっきゅう さん は 「だいじょうぶ」と こたえ まし た]
Ikkyu-san replied, "It's OK."
一休さんは突然、和尚さんの部屋にあった高価な茶碗を叩き割りました。
[いっきゅう さん は とつぜん、おしょう さん の へや に あっ た こうか な ちゃわん を たたきわり まし た]
Ikkyu-san suddenly broke an expensive bowl in the priest's room.
その時、和尚さんがお寺に帰ってきました。
[その とき、おしょう さん が おてら に かえっ て き まし た]
Then, the priest returned to the temple.
一休さんは、泣きながらお寺の入り口に行きました。
[いっきゅう さん は、なき ながら おてら の いりぐち に いき まし た]
Ikkyu-san went to the temple entrance, crying.
泣いている一休さんを見た和尚さんは、「どうしたんだ」と尋ねました。
[ない て いる いっきゅう さん を み た おしょう さん は、「どう し た ん だ」と たずね まし た]
When the priest saw Ikkyu-san crying, he asked, "What's wrong?"
一休さんは「和尚さんの大切な茶碗を割ってしまったため、毒を飲んで死のうとしました」と答えました。
[いっきゅう さん は 「おしょう さん の たいせつ な ちゃわん を わっ て しまっ た ため、どく を のん で しの う と し まし た」と こたえ まし た]
Ikkyu-san replied, "I broke your precious bowl, then I tried to die by drinking the poison."
一休さんは「死んでお詫びをしようとしたのですが、毒を全て飲んでも死ねないのです」と言いました。
[いっきゅう さん は 「しん で おわび を しよ う と し た の です が、どく を すべて のん で も し ね ない の です」と いい まし た]
"I tried to atone for my sin with my life, but I couldn't die even though I drank all the poison."
噓をついていた和尚さんは、一休さんを叱ることができませんでした。
[うそ を つい て い た おしょう さん は、いっきゅう さん を しかる こと が でき ませ ん でし た]
The priest lied to the children, so he could not scold Ikkyu-san.