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【北京=矢板明夫】日中関係や中國政治について日本國內のメディアで積極的に発言している東洋學園大教授の中國人學者、朱建栄氏(56)が7月に上海に向かったまま消息を絶っている問題で、朱氏が情報漏洩(ろうえい)の疑いで中國國家安全省の警察に上海市內で拘束され、浙江省の施設で取り調べを受けていることが10日までに分かった。複數の中國筋が明らかにした。ある中國當局者は「容疑が固まり次第、逮捕する」と話している。
中國情報筋によると、朱氏は昨年まで、日本にある中國人団體の代表を務めた。その際、日本の政府機関から資金援助を受けた見返りに、中國の政治、軍事などに関する機密情報を収集し、提供した疑いがあるという。また、日本で出版した書物に中國で未発表の情報が含まれており、その入手経路も調べられている。さらに、日本の當局関係者との交流についても事情聴取されているという。
中國共産黨筋は朱氏の容疑について「平時なら問題視されないことだが、日中関係が悪化している中、クローズアップされた」としたうえで、拘束は「日本にいる中國人學者に対し、『日本當局者と親密な関係を持つな』と警告する意味がある」と話している。
中國では、政府係シンクタンク、中國社會科學院日本研究所の金煕徳副所長が、2008年の胡錦濤國家主席訪日に先立ち、中國社會科學院が実施した分析などに関する情報を日本當局に提供した疑いで09年に逮捕され、懲役14年の判決を受けている。
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■朱建栄氏 1957年、上海出身。上海の華東師範大卒。86年に來日し、東京大非常勤講師、東洋學園大教授など歴任。在日中國人の教授らによる「日本華人教授會議」の設立に努め、初代代表となった。