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Business Journal 2014/5/27 03:00 編集部
5月12日、日産自動車は2015年3月期の決算見通しを発表した。大手自動車メーカーの同決算見通し発表としては最後になったのは、14年3月期決算が不本意な結果に終わったからだとみられている。そうした見方をよそに、カルロス?ゴーン社長兼CEOは「世界シェアで過去最高の6.7%を目指す」と宣言し、世界販売台數の目標値を過去最高の565萬台(前期比8.9%増)に設定するなど、強気の姿勢を崩していない。ちなみに他の大手メーカーは世界市場の成長率を1~2%増に置いているが、ゴーン氏は「これまでの教訓を生かし強固な予想を打ち當てた。市場環境の急変などがない限り、実現に自信を持っている」と語っている。
このような日産の強気とは裏腹に、同社は13?14年度と2期連続で決算見通しを期中に下方修正しており、市場関係者の間では「ゴーン氏のコミットメント経営が揺らいでいる」(外資係証券會社の自動車擔當のアナリスト)という不信が広がりつつある。
日産が強気な理由は、30年ぶりに復活する「ダットサン」の新型車など10車種を新規に投入するからだ。メキシコ、ブラジル、インドネシア、中國などの新工場の稼働も寄與する、としている。同社の15年3月期連結業績の見通しは、売上高が前期比2.9%増の10兆7900億円、営業利益が同7.4%増の5350億円の見込み。國內販売台數は消費増稅の反動で11%減の64萬台としており、「死守する」としてきた100萬台を割り込む見通しだ。
「100萬台割れ」は日本の自動車輸出が本格化した1960年代以降で初めてであり、新興國などでの現地生産の拡大に伴い日本からの輸出が減るほか、消費増稅で國內販売も減少するとみられているためだ。14年3月期の國內生産台數は前期に比べて5.7%減の100萬190台で、今期は90萬台規模になる見通し。3期連続で國內生産が減少する。一方、トヨタ自動車は「國內300萬台體製死守」の方針を堅持している。
●中期経営計畫にも暗雲
日産の今期の営業利益見通し(5350億円)は14年3月期の當初予想(6100億円)を1割以上も下回るが、それでもこの目標の達成は簡単ではない。新興國市場は景気の減速が不可避となっているため、トヨタや本田技研工業(ホンダ)などはより慎重な見方をしている。他社に先駆け「ダットサン」などを投入するなど、日産が力を入れているロシアはウクライナ問題で通貨の下落が現実のものになっており、インドも利益を圧迫する要因になる。
日産は16年度までに「世界シェア8%、連結営業利益率8%」を目指す中期経営計畫「パワー88」を掲げているが、この達成は予斷を許さない。日産幹部は「利益率8%の達成はコミットメントという意識だが、世界市場シェア8%は努力目標」と打ち明ける。「パワー88」発表時、ゴーン氏は「(16年度までに)グローバルな市場占有率を10年度の5.8%から8%に伸ばすと同時に。売上高営業利益率を10年度の6.1%から8%に改善し、その後、維持していく」と明言している。前出幹部の発言どおりならが、日産の現狀としては利益とシェアの二兎は追えないということになる