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「杓底一殘水、汲流千億人(しゃくていいちざんすい、ながれくむせんおくびと)」
曹洞宗の開祖、道元禪師が開かれた永平寺の正門左右に石の門柱があります。そこに刻まれている言葉です。
これは、毎朝道元禪師が門前を流れている永平寺川の水を汲んで仏前にお供えしておりましたが、柄杓の底に殘った僅かな水でも捨てず、ゆっくりと穀川にもどされたと言います。この道元禪師の行いを見て、このように後世の人が表したと言われています。つまり、それがたとえ自分の汲んだ水でも、自分だけが使うのではなく、少しでも他の人に使っていただくといった心がけが大切といった教えです。
これは、前回の言葉にも通づるところがありますが、「まず自分のことより、相手のことを思う心がけ。つまり、常に”思いやり”をもって修行に勵み、生きていくこと」と言っているのでしょう。
道元禪師は 「今自分がここに生きていて 何か得たものがあるならば どんな小さなことでもよいから それを 人のために伝えていきなさい」 と言われます 同じ川の水を飲んで 共に生きるだけではなく 同じ喜びや悲しみを 分かち合えるようにとも 諭されています
この教えは 茶道にも生かされています 柄杓で 釜から湯を汲み取ったとき 半分だけ注いで 殘りの半分を釜に戻します 「杓底一殘水 汲流千億人」 の心です
參考書:『みちしるべ~縁~』、仏教伝道協會 等