【萬葉集】戀歌精選
(2008-04-19 00:03:40)
下一個
昨年(平成18年)7月7日に放送した「ドラマ・萬葉ラブストーリー」では、次のような歌が使われました。 參考までにご紹介します。
・ 大地は取り盡くすとも 世の中の盡くし得ぬものは 戀にしありけり
・ 多摩川に曬す手作りさらさらに 何ぞこの子のここだ愛しき
・ 夏の野の繁みに咲ける姫ゆりの 知らえぬ戀は苦しきものぞ
・ よしゑやし 來まさぬ君を 何せむに 厭はず我は 戀ひつつ居らむ
・ 生ける代に 戀といふものを 相見ねば 戀の中にも 我ぞ苦しき
・ 君待つと我が戀ひ居れば我がやどの 簾動かし秋の風吹く
・ かくばかり 戀ひつつあらずは石木にも 成らましものを 物思はずして
・ 我が背子に我が戀ふらくは 夏草の 刈り除くれども 生い及くごとし
・ 逢はなくは 日長きものを 天の川 隔ててまたや 我が戀ひ居らむ
・ たぶてにも 投げ越しつべき 天の川 隔てればかも あまたすべなき
・ 萬代に 攜はり居て 相見とも 思ひ過ぐべき 戀にあらなくに
【萬葉集】戀歌精選
我が背子に 我が戀ふらくは 夏草の刈りくれども 生ひ及くごとし
彼を想う私の気持ちはまるで夏草。刈っても刈っても生えてくるように、この想いは止まらない
(作者未詳)
一昨日も 昨日も今日も見つれども 明日さへ見まく 欲しき君かも
おとといも昨日も今日も君に會ったけど、明日も君に會いたい
(橘文成/詳細未詳)
立ち居て たどきも知らず我が心 天つ空なり土は踏めども
立ったり座ったりして、どうすることも出來ず、私の心は中空にある。足は地を踏んでいるのに
(作者不詳/巻12 2887)
たぶてにも 投げ越しつべき 天の川隔てればかも あまたすべなき
投げた小石が屆きそうな天の川なのに、それが隔てているせいで、どうすることも出來ない…
(山上臣億良)
よしゑやし 來まさぬ君を 何にせむに 厭はず我は 戀ひつつ居らむ
もう來なくなったあなたを、なぜ懲りずに想い続けているのだろう
(作者不詳/巻12 2378)
天の川 川門に居りて 年月を戀ひ來し君に 今夜逢へるかも
天の川のほとりに立って、1年間、ずっと戀慕ってきたあなたに今夜、やっと會う事が出來ました
(作者不詳/巻10 2048)
磯城島の 大和の國に 人二人 ありと思はば 何か嘆かむ
この広い大和の國に 自分の思っている人が二人もいるような平凡な人なら、何で嘆きましょうか。かけがえのないあの人ゆえに、こんなにも嘆くのです
(作者不詳/巻13 3249)
こころゆも 吾は思はざりき 山河も 隔たらなくに かく戀ひむとは
思いもよらなかった 山や川が隔てている訳ではないのに こんなに戀焦がれるなんて
(笠女郎/巻4 601)
月草の うつろひ易く 思へかも 我が思ふ人の言も告げ來ぬ
すぐに変わりやすい気持ちで思っていらっしゃるからでしょうか、戀しいあなたからの言伝てもないのは
(作者不詳/巻4 583)
うちひさす 宮路を人は満ちゆけど わが思ふ君は ただ一人のみ
大和の奈良の都大路を 人は満ち満ちているけれど、私の思う人はただあの人だけ
(作者不詳/巻11 2382)
かくばかり 戀ひむものそと 知らませば 遠くも見べく ありけるものを
これほどに戀しくなると知っていたら 遠く離れて見ればよかったのに
(作者不詳/巻11 2372)