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6、景星

  光明社のかへり

  霙が飛ぶ

  燈がぼんやりする

  三

  砲

  台

  牌

  煙

  草

  私と妹とはさびしい街から明るい街へ出た

  風の中であの『メー·フラハー』の映畫を思ひ乍ら

  感激のまゝフランス租界を通り抜けた。

  從光明社歸來

  雨雪飛颺

  燈光迷茫

  三

  炮

  台

  牌

  香

  煙

  我和妹妹從寂寥的街道來到明朗的市街

  在風中,回想著那部名叫“五月花”的電影

  帶著感動,穿過法國租界。

  夕方

  夕方、おれたちがブラブラしてると

  兵営の喇叭が

  いゝかげんのふしで

  トツトコトツトコやつてゐる

  藤の花がこの土地では今満開

  喇叭がトツトコトツトコ

  空をぼかんと見るにいゝ夕方だ。

  黃昏

  黃昏,我們信步而行

  兵營的號聲

  帶著任性的節奏

  “嘀嘀噠噠”地由遠而近

  如今,紫藤花在這塊土地上已經盛開

  號聲“嘀嘀噠噠”“噠噠嘀嘀”

  這黃昏,正適合呆呆地仰望天際。

  短章

  疲れた瞳に見えるものは

  二月の白さだ

  アトリヱ一ぱいの風景だ

  女よ

  その花をくづすな!

  短章

  疲憊的眼睛裏所能看見的

  是二月的白淨

  是畫室滿滿的風景

  女人啊

  可別把那花兒蹂躪!

  點景

  えい、靜かな夜の河

  えい、しんみり蟲のすだく聲

  えい、船は一さう、夜ふけの物音!

  點景

  啊,夜河無聲

  隻聞蟲子唧唧啼鳴

  此刻駛過一艘輪船,掀動了夜半的寂靜!

  風景

  カソリツク教會堂によわいひ日ざし

  消防署の塔の頂上は白い雲

  日傘が行く

  氣笛がきこえる

  電車が通るたびお濠の水がゆれる。

  風景

  天主教堂上有微弱的光影

  消防署的塔尖上是白色的雲層

  太陽傘在行進

  汽笛聲慢慢靠近

  每當電車通過時,護城河水就不住地戰栗。

  妹と私の夜

  一人の人間の陰影に

  きいろい燈はショパンの『水の曲』をきかせる

  あゝ、夜も秋だ!

  さびしい心を持ち初めてから

  私は本をよむことを知つた。

  妹妹與我的夜晚

  在一個人的陰影裏

  黃色的燈光彈奏出肖邦的“水之曲”

  啊,這夜晚也已彌漫秋意!

  自從有了寂寞的心靈

  我才懂得了閱讀書籍。

  短章

  寒い夜です

  くしやみばつかり出て

  長い手紙がかけません

  ごめん下さい。

  短章

  這是個寒冷的夜晚

  我噴嚏連連

  寫不了一封長信

  啊,真的很抱歉。

  歸省

  外套も襟巻きも

  耳かくしも手袋も

  仆のさむさをかくすにはあまりに貧弱だ

  海へ汽船がのり出すと

  船つき場人達の姿がわびしく見える

  空が青いし

  硝子が光るし

  ボートの影からも一度船つき場をふりかへると

  彼の女が鷗のやうにハンカチフをふつてゐる。

  歸省

  要想藏匿起我的寒冷

  不管是外套,還是圍脖

  不管是護耳,還是手套

  都顯得太過貧弱

  輪船一旦駛向海上

  碼頭上的人影就盡顯淒涼

  天空一片晴藍

  玻璃閃爍著光豔

  透過小船的影子回望碼頭

  她就像海鷗般揮動著手絹。

  回想

  私の顏が彼の女の顏であると

  誰も知りやしない

  一つの鏡!

  回想

  我的臉就是她的臉

  這,誰也不明白

  啊,一麵鏡子!

  李の花

  その白い香りは肌にさびし

  その白い花美はしい夕空の一本道に

  亮々とひゞく喇叭の音よ

  おう、初夏の天地に栄光あれ!

  李花

  那白色的香味撫弄著肌膚,頓覺淒清

  黃昏,美麗的天空下,那白色的花兒開滿獨徑

  此刻,傳來一陣嘹亮的喇叭聲

  啊,初夏的天地榮光無垠!

  町へ

  あけはなした窓の風は

  この穀間の青嵐

  窓一ぱいかすむ南瓜の花は

  今日、日曜の晴天

  さあ、友よ!

  むぎわらしやつぽで町へ出やう

  『キーン』は非常にいゝ映畫だつてね。

  進城

  有風闖進敞開的窗戶

  是這山穀間的青風魚貫而入

  南瓜花結滿窗戶,景色迷離

  今天,是一個晴朗的星期日

  啊,朋友!

  戴上麥稈帽一起進城去吧

  據說“國王”是部很棒的電影。

  病院にて

  灰色の光り——

  かろい足どりで耳もとを過ぎ去つたのは誰だ

  あたし!

  あたしなんてしるものか?

  僕はたつた今あの公園で遊んできたんだ

  ほら、Aliceという娘ね

  あの娘と散歩したんだ

  だから、あたしなんて知るものか

  けれど、お前の顔だけはほのかに見えるよ

  その圓満な頬と十本の指だけ

  ようくようく兄さんは知つてるよ

  さあ、Iren

  一寸體溫を計つてくれ

  僕、今うなされなかつた?

  在醫院裏

  灰色的光亮!

  是誰步履輕盈地走過耳旁?

  我!

  我怎麽可能知道?

  我剛去那公園轉悠回來

  這不,有個名叫Alice的姑娘

  我一直和她在結伴徜徉

  所以,我怎麽可能知道?

  但唯有你的麵孔還依稀可見

  那圓圓的麵頰和十根指尖

  哥哥我都銘記心間

  啊,Iren

  請幫我量量體溫

  此刻的我該不是被魘住了吧?

  北方詩篇

  早春

  今日、町は非常な日光浴だ

  寒い風も吹かないし

  少ししめった道路は春の土色だ

  僕が自轉車のケツへ妹をのつけて

  日本租界の方へ行つたら

  春が來たなんて日本の子供がうたつてたつけ。

  早春

  今天,街道洗了個不尋常的日光浴

  也沒有吹著寒冷的北風

  有點潮潤的道路盡顯春天的泥紅

  我把妹妹搭在自行車的後筐裏

  朝日本租界一路駛去

  日本小孩正唱著“春天來了”。

  感謝

  周五姐が僕に襟巻きをこしらへてくれた

  ありがたう

  僕は青島へかへつてもこの襟巻きをかけるんだ

  色がしぶいので

  實にいゝ襟巻きだ。

  感謝

  周五姐幫我織了條圍巾

  我感激不盡

  回到青島後,還一直戴著它

  顏色很素淨

  真是一條好圍巾。

  夕方

  豆腐やのラツパにぶらさがれ!

  子供!

  女!

  電車!

  夕やけ雲!

  銅像!

  巡査!

  旗振り!

  烏!

  黃昏

  快拽住那豆腐小販的喇叭!

  小孩!

  女人!

  電車!

  火燒雲!

  銅像!

  巡警!

  揮旗者!

  烏鴉!

  年末小詩

  年のくれで母上はまだお休みにならない

  だのに僕はベットの上で新年號の中央公論と婦人公論とを見てゐる

  あゝ、すまないな

  年末小詩

  年末,母親也顧不上小憩

  可我卻躺在床上,讀著新年一期的《中央公論》和《婦人公論》

  啊,真的對不起

  記念

  三十三番街の月の匂ひは

  僕の姿をおつとりとさせた

  おゝ、娘よ

  かゝとの高い靴をならして

  僕と腕をくんでくれい

  この透明な冬の中で

  そなたの風貌をしみじみと見せてくれい。

  紀念

  三十三號街的月亮

  它的氣味祥和了我的身影

  啊,姑娘

  你就跳響高跟鞋

  和我挽緊雙臂吧

  就在這透明的冬日中

  好好地展示那遠方的風景。

  母上のゐない夜

  月のいゝ晩は雪明りだ

  妹達の部屋はほんのりしてゐる

  ストーヴの火がまつかんに燃えてゐる

  いとこも妹も読書からはなれて

  二人とも編みものに安んじてゐる

  ふつと靴音でもならさうものなら

  二人ともほゝえみ乍らこつちを見るだらう

  兄さん、紅茶でものみませうか

  妹もいとこも美しく輝くだらう。

  沒有母親的夜晚

  沒有月亮的夜晚雪光熠熠

  妹妹們的房間光線迷離

  爐子裏的紅火熊熊燃燒

  表妹和妹妹都撂下書本

  安閑地編織著手中的毛衣

  如果突然讓腳步聲響起

  她們會不會微笑著把我注視?

  哥哥,來喝點紅茶吧?

  ——妹妹和表妹神采奕奕,美麗無比。

  噂

  港の夕ぐれにわびしい氷柱がたれさがり

  結氷した海一ぱいに鷗が舞ひ飛び

  汽笛が一萬三千人の職工を解放し

  海岸のサヴオイ·レストランのコップが爆發するとき

  あの呑氣でね坊なトミーの爺さんは

  酒を一ぱいぐつとのみほし

  ストーヴのそばでねむるが如く死んださうな。

  傳聞

  海港的黃昏懸垂著寂寞的冰柱

  整個結冰的海麵上海鷗飛舞

  汽笛解放了一萬三千名職員

  引爆了海濱小酒館的一個個杯盞

  據說那個悠閑嗜睡的湯米大爺

  此時把酒一飲而盡

  在火爐旁死去,恰如安詳地睡去。

  夏

  うすぐもり日

  蟬がぢいぢいないてゐる

  膠濟鐵路四方機廠の朝

  巡捕ぼんやり行人を見送る

  ×

  我が行手に坊主山見え

  我が行手は高粱茂り

  膠濟鐵路ばくめんとしてかなし。

  夏

  微陰的日子

  油蟬發出唧唧的啼鳴

  膠濟鐵路四方廠的早晨

  巡捕呆呆地目送著行人

  ×

  我去的前方有禿頂的山嶺

  我去的前方有茂盛的高粱

  啊,膠濟鐵路迷蒙而悲涼。

  小景

  水門のそばで僕が凧を上げてゐる

  雜木林の中では清策さんが木を切つてゐる

  『おおい!おおい!』

  よんでみたけど清ちやんに聞えないらしい

  仕方がないので凧をブンブンおこらした

  さうしたら柳澤さんがライト式の窓から首を出した

  ピアノが急に止んで青い空がばかに青い!

  小景

  我在水閘旁放著風箏

  清策在灌木叢中砍伐樹林

  “喂,喂!”

  我連叫兩聲,清策都似乎置若罔聞

  無奈,我隻好讓風箏臨空升起

  於是,柳澤從窗戶探出頭來

  鋼琴聲戛然而止,藍天更是藍得出奇!

  小景

  海岸通りの大きな一本のいと杉は

  空への成長だ

  透明な冬の市街の異景だ。

  小景

  濱海大道上有株巨大的翠柏

  朝著天空一個勁兒地伸展

  透明冬日裏街市的奇觀。

  小唄

  人情じみた臍まがり

  針金人形の氣の弱さ

  無理がふくらみ

  道理がへこんで

  醉つたお麵の投たんか

  そんなものは煖爐にくべろ

  へんな匂ひでじゅうじゅういぶりや

  女二人が黒眼をなさる

  醉はぬお麵の味氣なさ!

  小調

  不乏人情,卻性格乖戾

  像鐵絲的木偶瘦弱而怯懼

  無理在膨脹

  道理已凹塌

  酒醉後的麵具連拋狠話

  把那玩意兒丟進火爐裏!

  奇怪的氣味熏得人呼吸急促

  兩個女人瞪著黑眼珠,一臉平靜

  不醉的麵具可真是乏味!

  途上

  このニヒルはさむくない

  濠ばたの柳青ばむ。

  省線電車がトンネルに食はれた

  天邪鬼は十字路に立つ。

  途中

  這份虛無並不寒冷

  護城河畔楊柳青青。

  開往鄉下的電車已被隧道吞噬

  倔強的人兒正站在十字路口。

  自嘲

  テヘ、テヘ、笑つてやれ

  こんな思念、こんな本心

  テラコッタ人形のおもしろさ

  テヘ、テヘ、笑つてやれ

  青い本、赤い本、赤い舌

  人を信じぬおもしろさ

  自嘲

  嗬嗬,就來笑話它吧

  這思念,這本意

  這粘土偶人的樂趣

  嗬嗬,就來笑話它吧

  藍色的書、紅色的書、紅色的舌頭

  還有不相信人的樂趣

  秋一題

  前門前で

  風

  満州婦人のあたま

  ぶんぶんいゝ匂ひ

  まつ白い蘭の花の匂ひ

  買物は用意された

  馬車にのる際の大きな城壁の上の満月

  従姉がうしろから

  『今夜、中秋祭よ、少し歩かない?』

  私たちは風をけりながら中央公園の方へ

  ——北京にて——

  秋日一 題

  前門前

  滿洲婦女人頭攢動

  到處飄散著美妙的氣息

  是雪白的蘭花芳香四溢

  已經準備好去購物

  坐上馬車時,巨大城堡上月兒盈盈

  表妹從背後說了聲:

  “今夜是中秋節喲。要不要散一會兒步?”

  我們用腳踹著風,向中央公園走去

  ——於北京——

  築地小劇場にて

  『リイベライ』は

  女には新感覚ではなかつたらしい

  『シュニツツレル!新派劇の作者!』

  私はくらやみの中から言葉を放した!

  青光りする舞台の上では

  可愛いクリスチイネの涙が光つてゐる。

  在築地小劇場

  所謂“小小的愛情”

  於女人而言,也許算不上什麽新感覺

  “施尼茨勒!是新派戲劇的作者!”

  我從黑暗中放話道。

  在藍光輝映的舞台上

  可愛的克裏斯蒂娜淚光閃耀。

  妄想

  十二時——

  死んだらトウシヤ版で遺稿をまとめてくれ

  老ひたる友よ、デツド?マスクをつくり給へ

  一時——

  おれの結婚は薔薇の花咲く六月頃

  いゝ娘の夢は夜明けまで……

  妄想

  十二點——

  如果我死了,請用銅版整理我的遺稿

  耄耋的友人啊,請給我戴上死亡的麵罩

  一點——

  我的婚禮是在薔薇盛開的六月

  做個好姑娘的夢,一直到拂曉……

  淺草にて

  一本の枝

  二月の花は雪

  三番の女の硝子の紅玉石

  四本目のタバコは苦しいよ

  五杯きりの酒でこのやうな浮沈子

  碌でなし奴の目の赤さ

  七めんだうな議論は止さう!

  在淺草

  一根樹枝在眼前

  二月盛開的是雪絨花

  三號女人戴著紅寶石

  第四隻香煙真苦澀

  五杯酒下肚變得好沒出息

  窩囊的家夥麵紅耳赤

  啊,快停止那煩人的爭議!

  ある夜

  空だけが美しい反射だ

  道は霜どけた砂利道だ

  犬の遠吠えに立ち止るな!

  竹籔の上に『三つ星』が點點點

  某個夜晚

  惟有天空呈現出美麗的反射

  眼前是冰霜消融的沙礫道路

  別因遠方的狗吠而停住腳步!

  竹叢上空懸掛著“三顆星”——點點點

  短章

  女よ

  女よ

  かざりに心をうばはれた

  かざりに心をひるがへせ

  短章

  女人啊

  女人

  你的心已被飾物攫走

  那就因飾物而回心轉意吧

  『感動』への詩

  Kへおのがじしに比べて見むか

  花もてる乙女が悠久たる心!

  空雲光り

  かつて世にうとまれし者の眼に

  何ものぞ、身をつらぬきて光れるは……

  寫給“感動”的詩

  致K各自比較來試試

  手捧花兒的少女有顆悠遠的心!

  天空雲朵閃光

  在被這個世界疏遠的人眼裏

  究竟是什麽?那穿透身體的發光體……

  風景

  ——和田堀·和泉·夜——風呂屋のけむりはさくら色

  掌をかぐとシャボンの匂ひがする

  おもてへ出ると川岸に月が上る

  犬の影が大通り一ぱいにひろがつた

  森と空とが反射して砂利道が星のやうに光る

  高壓線の下でオレをさし招くのは

  夜のよつ白い八百屋の娘か?

  おお、向ふから蟲のやうな畫家が歩いてきた!

  風景

  ——和田堀·和泉·夜——澡塘的煙是粉紅色的

  一嗅手掌,頓時傳來肥皂的味道

  走出澡塘,月亮已爬上河岸

  狗的影子布滿了街道

  森林與天空輝映,沙礫路如星星般閃耀

  夜晚,在高壓線下召喚我的

  就是蔬菜店那個白皙的姑娘?

  哇,一個像蟲子似的畫家正從對麵走來!

  窓

  おい、この風景は

  朝の信號旗だ

  風が爽やかに窓をめぐり

  枇杷のたははに實のつた枝のいゝこと

  そしてみろ

  となりの材木置場の緑は

  まるで青いパノラマだ

  樹が、草が

  すべて陽の出以前の冷たさを持ち

  夜明け前の薔薇色の香り

  清新な夏の大氣だけでも

  オレ達の眼が

  石花菜のやうに冷えびえしてるのだ

  窗

  喂,這風景

  乃是清晨的信號旗

  風兒圍著窗戶爽快地遊弋

  枇杷的果實已壓彎樹枝

  再看啊

  旁邊的木材場一片蒼綠

  就恍如一幅青色的全景圖

  樹木和草叢

  無不帶著日出前的涼意

  黎明前薔薇色的香味

  還有夏季清新的大氣

  此刻,我們的眼睛

  已冰若涼粉

  それだけのことだ

  室蘭港は乳色にかすみ、瑞々しい青葉の匂ひが窓にぶつかる

  昨日も今日の辨當も鮭であつた

  北海道中、鮭だつた

  それだけのことだ

  北方耶馬溪のトンネルとトンネルの間の海が眩しい

  それだけのことだ

  向ひ合つた料理屋の女將風の曲線美

  テヘ、テヘ、と彼の女は今にも笑ひさうだ

  夜あけの山は熊笹と木の根つこの山だ

  この明暗鐵道上の淫らな思想を彼の女も持つであらう

  それにしてもこの大氣を冷たいと思はないか

  馬のやうな女のちらちらする白扇よ

  三十女の脂ぎつたABCよ!

  僅此而已

  室蘭港隱沒在乳白色的霧靄中,嫩葉的清香撞擊著窗欞

  昨天和今天的盒飯都是三文魚

  整個北海道都是三文魚

  僅此而已

  北方耶馬溪隧道間的大海是那麽耀眼

  僅此而已

  對麵的女人,有著餐館女掌櫃一般的曲線美

  嗬嗬,嗬嗬——她差一點就要笑出聲來

  山白竹和樹根布滿了黎明的山巒

  也許她也有這明暗鐵道上的猥褻思想

  即便如此,難道不覺得這大氣冰涼冰涼?

  女人手上的白扇像馬兒一樣若隱若現

  啊,三十歲女人肉感美的ABC!

  詩集《景星》後記

  希望自己也擁有一部小小的詩集,或許純粹是出於心血來潮。可是,對我從輾轉多變的生活中整理出這些詩歌的童稚之心,是否有人明白呢?

  本來竊以為,出版詩集不啻擁有大量詩稿的複寫。事實上我至今還抱著這種單純的想法。我是如此愛惜地保管著自己的詩稿。而且我也深知,我隻能在一定的時期內完整地保存自己的詩稿,而不可能直到永遠。

  這次得知田村榮君的好意後,就仰仗其好意,決定印刷這部詩集。其中收錄的,無一不是我所謂“小小的可愛詩篇”。它們或許無異於六號字大小的風景、照相機、望遠鏡、切紙刀。時而又是口香糖、鍾愛的狼狗。

  主要是在青島、北平、天津、南京的作品。

  詩集名“景星”二字出自僚友馬公武之筆。

  裝幀和插圖則有勞於吉田雅子女士。

  肖像畫則承蒙栗木幸次郎君的好意。

  這部詩集並不正麵應對每個人都具有的某種心情,但我相信,它自有打動人心的東西。出版這部帶有私人性質的詩集,此舉絕非一時的心血來潮。我希望自己不久將有一部堂而皇之的大型詩集。這種希冀也絕非一時的心血來潮。不管怎麽說,我現在也有了一部小小的可愛詩集《景星》。

  黃瀛

  於一九三零年·五月新綠綻放的清晨

  
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