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2、眼ニ描ク本/繪在眼裏的畫本

  夜明けのパラパラ雨

  どこかには

  パラパラ雨を氣にする海月クラゲのやうな女もゐるだらう

  「春の周轉」の雨は

  オレの窓から夜ふけのオリオンを想像させる

  機には白いカアネエシヨン

  雨の音は全身をちくちく

  風のすぎ去つた方向にオレは

  森がけの養鶏場のあの光つた鼬除けの青い貝殻を見た!

  だまつてペンを走らしてると鶏の聲

  あけ方近いので

  パラパラ雨はオレのところを遠のいたらしい

  (明日は花がそろそろ蕾を開くであらう?)

  十枚の手紙を書き終へたオレの心と鼻よ!

  お前はとても香り高い花の匂ひを意識した

  よし!それぢや、ねよう

  武蔵野のばけもの、オレの部屋の電氣を消すぞ!

  パラパラ雨

  戻つて來ない中に

  硝子窓がクリーム色になつたり、すゝりなきしないうちに

  ワアツ!ワアツ!オレの首は足の先きだ!

  あの女への思慕

  うん、また雨が戻りやがつたな!

  (パラパラ雨はあの女にも春の粧ひを教へるであらう?)

  拂曉前淅瀝的小雨

  在某個地方

  也有著像海蜇般缺乏定性的女人

  會對淅淅瀝瀝的小雨耿耿於心

  “轉向春天”的雨

  讓我的想象從窗前駛往深夜的獵戶星座

  桌子上是白色的康乃馨

  雨聲蜇刺著我全身

  我從風逝的方向

  看到了森林養雞場那防備黃鼠狼的閃光青貝!

  就在默默地奮筆疾書時,傳來了雞鳴

  因為時近黎明

  淅瀝的小雨似乎正離我遠去

  (明天花蕾將在雨後綻放吧?)

  我那寫就了十頁書信的心和鼻子啊!

  你已覺察到了那馥鬱的花香

  好啊!那就睡吧

  武藏野的妖精,這就關掉我房間的電燈!

  趁淅淅瀝瀝的小雨

  尚未回轉

  趁玻璃窗尚未抹上魚肚白,還在啜泣

  啊!我的脖子就是我的腳尖!

  對那女人的思慕尚未平息

  誰知小雨又已經轉身回還!

  (沒準淅瀝的小雨也會教給那女人春天的裝束吧?)

  ベツトの中で

  一、いまは夜の十時、ねつかれない時

  二、にくしみの心を捨てよと雲ふ母の手紙を思ひ出した

  三、叫びたいがオレには口がない

  四、しばらくの苦味だ!涙を止めろ!

  五、ごうと秩父颪が行くな

  六、碌でもない人ゝが硝子窓を過ぎ去つて行く

  七、詩心は初めからない、この思ひは奔馬のやうだ

  八、包布と毛布の中で天邪鬼様がふるへてゐる

  九、苦しめ!これが力だ!意誌の爆發だ!

  十、どんな惡魔の前でも笑はなければいけないのか?

  一、今がそして若い男の愉快な人生だと雲ふのか?

  二、にげるなよ!但し眼をつぶれば天國が見える

  三、さわがしかつた太陽の一日がこんな寒いベツトで

  四、しばらくは冴えた眼で禦ざい

  五、ごめん蒙らう!あゝ、泣き笑ひの眼も心も

  在床榻上

  一、此刻已是夜裏十點,我還久未成眠

  二、想起了母親的來信,叮囑我擯棄仇恨之心

  三、想大聲叫喊,卻喊不出聲音

  四、嘴裏好一陣都苦澀難忍!啊,再不要眼淚潸然!

  五、狂風你不要咆哮渲染

  六、庸碌之輩正走過玻璃窗前

  七、詩興並非始而有之,這念頭勢如奔馬

  八、在被套和毛毯中,乖戾的人正瑟瑟打顫

  九、盡情地痛苦吧!這就是力量!就是意誌的爆發!

  十、無論在什麽惡魔麵前,都必須得微笑嗎?

  一、此刻就叫做年輕男人的愉快人生?

  二、不要逃遁!可一閉上眼睛,就能看見天堂

  三、陽光喧鬧的一天,就這樣蜷縮在寒冷的床上

  四、好一陣子都眼睜睜,神思清醒

  五、對不起!啊,那破涕為笑的眼睛和內心

  夏の白い小さな花よ!

  A

  激しいものがあまり動くため

  君は僕の美しさがわからない

  君はゴムの匂ひのするあの秋のアトリエに

  もう一ぺん紙つぶてを投げて大氣を振動させるがいゝ

  そして雪が降れば

  もう一ぺん心をおどらせておのれを顧みるがいゝ

  そこには君だけの美しさが浮んでゐる

  そこには回想がまだ虹のやうに淡くみえる

  B

  なるほど僕には君を支へる力がない——

  君は今日僕の行く市ま街ちの花

  君は雨あがりの空にふつと消えてゆく星

  君は外濠線を風となり

  パミリオンの雲を消えさせ

  夕やみに光る衛兵の銃劍をくぐつてきた尖つた心!

  僕よりもオレよりもりゝしい尖つた心!

  だが、今となつてみりやそいつは僕には苦しい

  そいつはどんと迫つてくる機関銃隊の影形シルウエツト

  思ふまいとすればちらちら光る星!

  C

  あゝ僕は今でも君を限りなく知つてゐる

  邪念といふか?未練といふか?

  この眼にきつく輝くこの一筋の光り

  君は笑ふだらう?

  君は悲しむだらう?

  喜ぶかもしれない

  だからこの一人の男はまた別な思ひに疲れてる

  仲間たちと君の知らない別な世界へ前進しなければならない!

  D

  夏の白い小さな花よ!

  燈を消すとタバコがにがく、ばかに僕は長い夜を考へてる

  夏の白い小さな花よ、時鳥が泣いてるね

  青葉の香りがやがて真夏の太陽となる

  そして邪念と脊中合せの僕は

  明日朝霧の中で昇天するきれぎれな喇叭の音

  また、またくる夜の不思議さの中で

  一個のつくねんとしたおもしろい影

  E

  おゝ、眼ばかりだ!

  夏の真夜中に鞭の音がきこえる

  ほらね、ほら!

  ほらね、ほら!

  君は翌くれば灼熱した太陽の世界には見られない

  君はとにかく市街で會へばオレの花

  君はやがてつゝましい婦をみなとなり

  僕はあらぶれて夏の風、冬の風

  それでいゝんだ

  あの烈しさ、美しさは君に感じさせたくはない

  君は君で行け!

  市街で會えば季節季節に小さい花となれ!

  はにかむのもいゝ

  つんとするのもいゝ

  彼はもうあのなごやかな大氣の中で

  君を思ふことの出來ない男だ

  “Mr。Soldier”と呼びかけられても

  彼はつゝましくりゝしく返事を朗らかにすることが出來ない

  そしてそれも遠い聲となつてゆく

  夏の白い小さい花よ!

  夜があければ僕は勇しい喇叭の音と共にあの廣つぱへ行く

  オレは君を知らない人にする

  夜が明ければあの胸にくる青草の匂ひは

  オレをめぐつてふりかへるをすら出來ない……

  夏天的小白花啊!

  A

  因為劇烈之物太過動蕩

  以至於你對我的美麗不明所以

  你隻管在散發著橡皮氣味的秋日畫室裏

  再次投擲出紙球,震動大氣

  而一旦瑞雪降臨

  你隻管再次心旌搖曳,回頭看我

  那裏浮現出唯你獨有的美麗

  回憶在那裏顯現,如同一道淡淡的虹霓

  B

  的確,我沒有力量來支撐住你——

  你是我今天前往的城市之花

  你是雨後的天空倏然消失的星星

  你化作護城河上的風

  吹散了朱砂色的亂雲

  變成一顆威嚴而鋒利的心

  穿越了黃昏中寒光閃爍的衛兵之劍

  啊,一顆比我還威嚴鋒利的心!

  但現在看來,它是讓我如此苦痛

  它就是日益逼近的機關槍隊伍的暗影silhouette

  一顆越是不願想就越是粲然生輝的景星!

  C

  啊,即便現在我也對你了如指掌

  該說是邪念作祟?還是餘情未了?

  在這眼睛裏閃爍著的這道光線

  你是會露出笑顏?

  抑或是悲傷掩麵?

  不,也許是高興無邊?

  然而,這男人卻又因另一種思慮而精疲力竭

  必須邁向夥伴們和你一無所知的另一個世界!

  D

  夏日的小白花呀!

  燈盞一滅,香煙苦澀,我傻傻地思量著漫長的黑夜

  夏日的小白花呀,杜鵑在啜泣

  嫩葉的芳香不久將變成盛夏的驕陽

  而我卻與邪念抵背而立

  在明日的朝霧中升騰的號聲斷斷續續

  在再度降臨的夜晚的神奇中

  劃過一個呆呆的有趣影子

  E

  喔,到處是眼睛!

  夏日深夜,惟有鞭聲淒厲

  瞧,瞧啊!

  瞧啊,瞧!

  一到明天,灼熱的太陽世界裏將再也見不到你

  一旦在街上相遇,你就是我的花兒

  你不久將變成一個彬彬有禮的婦人

  而我則窮困潦倒,聽任冬日的寒風和夏季的暴雨

  這又何嚐不可?

  我不想讓你感受到那種暴烈和美麗

  你隻管隨你去吧!

  倘如在街上邂逅,你可要變成當季的小花!

  盡可含羞靦腆

  也不妨自持驕矜

  在那柔和恬靜的大氣中

  他早已成了一個不能顧念你的男人

  即使招呼他“Mr。Soldier”

  他也盡顯威嚴和拘謹,無法做出爽朗的回應

  而且,那一切也將變成遙遠的聲音

  夏日的小白花呀!

  一旦天明,我將與威猛的號聲一起,奔赴那原野

  我將把你變成一個陌生人

  一旦拂曉,沁入心脾的青草味

  就會把我緊緊包圍,甚至不能回首顧盼……

  將軍よ!

  將軍よ!

  今時おのれを信じすぎる陳腐漢よ

  君の手兵五萬はもう去勢されて進む力がない

  進軍喇叭が天にひびくからと言つて

  君は北叟笑んで野戦司令部に納つてゐるのはをかしい!

  將軍よ!最早兵は君のために疲れた!

  君は彼等の意誌がやすやすと君の號令に動くと思ふのはまちがひだ

  かつては生命がもろく散るのを喜んだ君だつたが

  今信念のために倒れたるものの強さに君はおびへてゐるね

  血なまぐさい戰場の風が肥満した君の橫つ麵をなぐる時

  將軍よ!そのべんべんたる腹の一角に自分を忘れていいんだ

  夕ぐれ砂けぶりを立てて立てつづけに來る情報報告の傳騎に

  君は悲しい表情で齒ぎしりしながら參謀達のために機を叩くとか

  それもいいだらう、末路といふ一幕物には……

  そしてその芝居に君はあまりにもムキで熱心だと

  豬のやうな首をかしげて昔を考へるとか

  將軍よ!今は本當に君のためにイヤな時だと八字髯をつまむだらう?

  君の野心が君自身を痛め

  君のあどけない兵にまでのびて行くのは明らかだ?

  見給へ、最早君のよき民衆の聲を探すにはむづかしい時だ!

  まわりすべて君の新しい敵が一ぱい満ちた!

  君達よりも光熱に燃え輝やく勇敢な闘士達!

  それに對へる君の軍隊の力は?

  將軍よ!君の他力本念はまだ解けないね

  君の背後の黒い影、そいつが心強いマスコツトだつて?

  笑ひ事ぢやない、あんなものが……

  あれは俗に言ふ「狼の牙」

  君の國を忘れた心があいつらを迎へた!誘導したのだ!

  あいつらの本心——將軍よ、恐しい君の嘆息だね

  砲聲殷ゝだからと言つて死より以上の恐しさはない筈だ!

  若者達には實際のところ閣下を透して見えるものがある!

  將軍よ!なるほど昔は一ゝ服従の我ゝの國民だつた

  だが今時強權の前に立ちすくむやうな若僧は一寸珍らしい

  君は知つてるだから?我ゝの手が鐵の鑽になつたのを……

  君は我ゝに捨てられるのを思ふから卻ゝ動けまい

  國が君を追放する時!と知つたら悲しいだらう

  豬首が溫泉地方向を指す磁針になつてしまへば簡単でいいが

  將軍よ!明日こそ北方に一臺の飛行機が消へる時だ!

  あの何も知らない君の半減された魂のない兵隊!

  君は今身ぶるひをしてゐるね!

  無茶な、かつての英雄よ!豬首の大將よ!

  昔のやうに威風堂ゝと、戰場で見えたくはないかね——

  啊,將軍!

  一個此刻過於相信自己的陳腐漢子!

  你的五萬親兵已經遭人閹割,無力前行

  雖然進軍的號聲衝入雲霄

  你卻蜷縮在野戰司令部裏暗自竊笑,這真是荒唐可笑!

  將軍啊!你的士兵為了你早已筋疲力盡!

  你誤以為,他們的意誌會隨著你的號令輕易嘩變

  你曾經因生命脆弱的消失而竊竊自喜

  但如今卻因那些為信念而倒地者的堅強陷入夢魘

  當戰場上的血雨腥風猛抽你肥胖的側臉

  將軍啊!你盡可在便便大腹的一隅忘記自己

  騎兵揚起黃昏的沙塵,不斷前來報告軍情

  你一臉憂愁,咬牙切齒,朝著參謀們拍打桌子

  倒也不賴吧,那部名叫窮途末路的獨幕劇

  你對那出戲劇太過當真,太過熱心

  以至於歪著豬一般的腦袋,思考起往昔

  將軍啊!如果現在對於你確實是討厭的時辰

  你是否會緊捋嘴上的八字胡須?

  你的野心傷害了你自身

  顯然,還波及到了你那些無辜的士兵?

  瞧,已經到了很難找到你那些良民聲音的時辰!

  周圍充斥著你新的敵人!

  是比你們更加燃燒著光熱的勇敢戰士們!

  而你與之抗衡的軍力呢?

  將軍啊!你借助他力,坐享其成的情結尚未消解

  你背後的黑影,莫非那家夥是讓你心安的吉祥物品?

  這可不是鬧著玩的……

  那是俗話所說的“狼牙”

  是忘掉你祖國的心迎來了他們!誘導了他們!

  他們的真心——將軍啊,那是你可怕的歎息

  盡管炮聲隆隆,但也沒有比死亡更可怕的東西

  事實上,年輕人們透過閣下洞見了某些東西

  將軍啊!的確,過去我們的國家曾唯命是從

  但如今卻罕有那種在強權麵前呆若木雞的青年

  你可知道?我們的手已經變成了鐵鐐……

  你認為會被我們拋棄,所以才遲遲不能動彈

  一旦知道國家流放你時,或許會黯然神傷吧

  豬頭隻要變成麵朝溫泉方向的磁針,一切都會變得簡單易行

  將軍啊!明天就是一架飛機消失在北方的時候!

  你那些一無所知,已經減半,失去了靈魂的士兵!

  此刻,你正在瑟瑟顫抖!

  你這個愚蠢的、過往的英雄!豬頭大將!

  莫非不想像過去那樣威風凜凜地駕淩戰場——

  河田町馬場にて

  燒き芋でも食つてゝ顔を出すな

  へつぴり腰の馬のりを笑ぐお前達

  馬が風を切つてかけりや

  低い障害を飛んで前のめりすりや

  紅くて丸い頬の女達

  何がおかしく爆笑する

  へつぴり腰は馬場の一方、からたちの垣の上

  氣になるあの方向をかろく輕蔑する

  だから馬に拍車を入れて砂ぼこりを立たせる

  砂ぼこりは枯木の枝ゝをすがして笑ふやつにふりかゝる

  煙幕の効果は鮮やかなものだ

  一齊どやせば馬は奔ゝと速力を外づしてかけまはる

  窓はどざされる

  炭酸瓦斯の中で好きな男の噂でも……

  病院の風車はくるくる音高くまはつてるばかり

  これでいゝ

  馬と人間とが夕ぐれ一時

  寒い大氣にキインキイン音立てゝ

  萠牙米を

  匂ひのある幹物でうまく食べやうとかけまはる

  在河田町馬場

  不要吃著烤紅薯,出現在那裏

  你們嘲笑著戰戰兢兢的騎手

  馬兒風馳電掣

  越過低矮的障礙,身體前傾

  長著紅色圓臉的女人們

  有什麽滑稽的,竟引來你們爆笑的聲音?

  膽怯的騎手在馬場的一方,站在枸橘的籬笆上

  輕輕蔑視著那惦記的方向

  所以,他拍打著馬匹,揚起陣陣沙塵

  沙塵穿過枯枝,飛向笑著的家夥們

  煙幕的效果是如此鮮明

  隻要一齊大喝一聲,馬兒就朝前撒腿飛奔

  窗戶被緊緊鎖閉

  在二氧化碳中說著心儀男人的閑言碎語

  醫院的風車高聲地團團旋轉

  這情景的確不賴

  傍晚,馬和人在寒冷的大氣中

  一時間傳出嘎吱的響聲

  為了吃到發出氣味的幹萌芽米

  而不惜奔跑,四處尋覓

  幻聴とオレ

  野州のある高地上の

  小さい停車場、小さい森林、小さい部落、鐵道線路。

  岩山一ぱいのつゝじと新綠に身を埋めて

  オレの見たのはきいたのは

  多くの物音の中の鶏のなき聲、小學校のざはめきだつた。

  海抜二百米突たらずの饅頭山の上から

  師團參謀の地形判斷のまねを一通りすませば

  太陽よりもきらきらする水田と

  だらだら曲線で遠くへ走る街道の白さが眩しいのだ。

  鶯が鳴いてるな!

  灌木の茂みを行くせゝらぎを朗らかにきく耳

  この時ばかりは夏が來たことをはつきりと感じた

  あの騒ゝしい都の花を忘れはてた。

  汗の補充のために水筒の水をたゝいた。

  あゝ、一望千裏ずつとひらけた青葉の天地へ見せた胸

  先づ高いお山からの小さい人生を眺めるオレ

  オレは小供らしい興味からもう地圖上の敵を忘卻してる

  オレは今幻聴にとらはれたオレでない筈

  だが、何處からか迫るこいつに惹かれてる

  利根川を遠く一本そのまゝ右手に見忘れて

  しばらくは青葉の大氣の中に彳んでゐる

  あゝ、幻聴とオレ!

  幻聽與我

  在野州某個高地上的

  小小停車場、小小森林、小小部落、鐵道沿線。

  置身於開滿山岩的杜鵑花與嫩綠中

  我所看見和聽見的

  是眾多聲音中的雞鳴和小學裏鼎沸的人聲

  從海拔不到二百米的饅頭山上

  身為師團參謀做完地形判斷

  隻見比太陽還眩目的水田

  和向遠方蜿蜒的街道白晃晃,好不刺眼。

  黃鶯在囀鳴!

  耳聞小溪穿過灌木叢發出潺潺水聲

  此時,清晰地感到夏季的來臨

  甚至忘記了那喧囂都市的鮮花。

  為補充汗水而將水筒裏的水一飲而盡。

  啊,向一望無盡的綠葉天地敞開心靈

  我從高山上眺望著微不足道的人生

  因稚童般的興趣而忘卻了地圖上的敵人

  我此刻不可能是陷入幻聽的我

  但卻被來自某處的家夥深深地吸引

  忘情地看著右邊遙遠的利根川

  久久地躑躅在綠葉繁茂的大氣中。

  啊,幻聽與我!

  動物園にて

  ——主として北極熊について——動物園の白熊は

  二匹そろつて重量のあるものの生活を表示する

  彼らの郷愁はおれのやうにまとまつたものではないらしい

  彼らは冬——春、夏になるまでの空から

  どの位夢見がちに雪を望んでたことであらう

  青くたゝえた水の中で巨體を波うたせてる彼ら夫婦の心理

  深淵めいたこの水道の水の中の水中思想

  あゝ正午近くなつたら

  この二匹の生き物は何の食べ物にありつくだらう

  動物園の白熊は

  水沫をパツとちらすと高石よりも鶴田よりも鋭い形態になる

  見てるおれ達の眼にはねかへるのは潑溂な新綠のレンズが

  おれには季節の眼はない

  おれにはセメント造りの氷山を笑ふほどの資格はない

  おれには人間の世界なんか忘れてるやつらが麵白く見える

  生活全體水にびつしよりぬらして

  どの人間が彼らのやうに勇敢になれ得やう

  純白な毛皮、けれど妻の方の眉間の鮮やかな傷跡

  どの人間がこの生きものゝ愛人を傷つけたであらう

  下手の空竹割りヲツトセイの叫びは

  日に何度この二匹の耳を憂鬱にすることか

  動物園の白熊は二匹ゐるから

  大きななだれ肩を水に打たせて風と青葉の匂ひを調和させる

  四月の花を雪だと思つたあの頃は君達もばかだつた

  五月、エヽテルの中の愛の生き物は幸福そのものだ

  見てるおれにはねかへる水沫はおれを若がへらせる

  おれはおれであることを

  白熊は白熊であることに引例する

  だが、おれには白熊ほどの幸ひはない

  動物園へ來るといろいろな人間の形態を見せつけられる!

  在動物園裏

  ——以北極熊為主——動物園裏的兩頭白熊

  雙雙昭示著不乏重量的生活

  它們的鄉愁不像我的那樣頭緒井然

  從冬天到春天,再到夏日的天邊

  它們是如何夢想著雪花翩然降臨

  這對在湛藍的水中遊動的白熊夫婦

  肯定懷著這深邃管道裏的水中思想

  啊,到了正午

  這兩頭生物將會吃到怎樣的食物?

  動物園裏的白熊

  濺起陣陣水沫,化作比都更銳利的體態

  在我們眼前躍動的,是新綠生機勃勃的鏡頭?

  我沒有季節的眼睛

  沒有資格去嘲笑那些水泥造就的冰山

  在我眼裏,那些忘記了人類世界的家夥們是如此有趣

  將整個生活浸泡在水中

  有誰能夠變得像它們那樣英勇

  有著純白的毛皮,但夫人的眉宇間卻透著鮮明的傷痕

  是誰傷害了這生物的愛人?

  旁邊的海狗發出碎裂的尖叫

  每天會多少次讓這兩頭生物的耳朵抑鬱難忍?

  動物園裏有兩頭白熊

  將水澆灑在斜肩上,調和著風與綠葉的氣息

  居然把四月花當作雪花,那時的你們也真的好傻

  五月,置身於愛情以太中的生物幸福無比

  濺在我身上的水沫讓我青春勃發

  用“我就是我”來引證

  白熊就是白熊

  但是,我卻沒有白熊那般的幸運

  一走進動物園,就不能不瞅見人類的千姿百態!

  五·六月の夜

  ベツトの上、南から來たしま馬だ

  五月十八日、仲々ねむれない

  この橫つ麵をなぐるのは月夜の硝子棒で

  明日はどうせ富士の裾野の中に動作する

  さつとあの青綠の中へ飛びこめば

  日頃のう、つ、ぷ、ん、まで忘れはてる

  第一、あの原つぱの驟雨

  第二、あの原つぱの廣さ

  第三、夜中の雷、稲妻!

  あゝ、考へるほどオレはねむられない!

  夜中の貨物列車が今通つた

  ガアフンガアフンガアフン

  空に、灌木の上に明るさを上げて……

  オレは大きく寢がへりをうつたが

  まだあの顔をこはすことが出來ない

  月が落ちた空をちくちくさせるものがある

  Fun-Fun。

  夜明けの雨の尖兵、青葉の匂ひ!

  電線にかゝつてる月は橫すべりする

  お山は五合目までまつ白い

  オレは風に吹かれてる

  オレは少しばかりぬれてる

  クローバの花の氣壓が氣狂ひのやうにやつてきた

  もう一枚シヤツをぬげば半裸體になるが

  實際この思服さへもぬぎ捨てたくはない

  もしも今夜野末に赤い照明彈が上るならば

  今夜こそこの一點心を新羅三郎に向けたいものだ

  オレがあの足柄山の風流事に正對するのは

  オレ自身の一線を見透すことになるからだ!

  兵隊が全員目下瞑目中だから

  急にオレも鋭い森のシルウエツトに恐しさを感じる!

  五·六月的夜晚

  床上,是來自南方的斑馬

  五月十八日,久未成眠

  是月夜的玻璃棒擊打著這張側臉

  反正明天要在富士山腳的原野上活動

  一旦縱身跳進那片青綠中

  甚至會忘記平日的積怨

  其一,是因為那原野上的驟雨

  其二,是因為那原野的浩翰

  其三,是因為那夜半的雷鳴和閃電!

  啊,我越想越睡不著!

  此刻,半夜的貨運列車正戛然而過

  哢噠哢噠、哢噠哢噠

  在天空中,在灌木叢上,亮光一閃……

  我重重地翻了個身

  但卻無法搗碎那張麵孔

  有什麽東西蜇刺著月落的天空

  Fun-Fun。

  拂曉時雨點的尖兵、綠葉的清香!

  懸掛在電線上的月亮正順勢滑翔

  直到半山腰變得一片白茫

  風吹打著我

  雨淋濕了我

  苜蓿花的氣味就像瘋子般緊逼我

  再脫一件襯衫,就會變成半個裸體

  可我卻不想舍棄這身衣裝

  設若今夜在原野盡頭升起紅色的照明彈

  我恨不得今夜就將滿腔思緒交給

  我之所以敢麵對他在足柄山的風雅之舉

  乃是緣於我洞悉了自身的內心!

  因為士兵們眼下全都在睡夢中

  所以,我也突然從森林尖厲的暗影裏感到了驚恐!

  眼ニ描ク繪本

  砲臺ノ上ノ櫻ガ咲キマシタ。

  クモリ日ノ天下ノ一人。

  花ハソレ自身ノ美シサバカリデハナイ、

  變ツタ季節風物ヘノ眼ガ引キ上ゲル妙奇。

  砲臺ノ上ノ櫻モヤガテ散ルダラウ。

  樹ゝニカクレタ展望臺ガ、

  ヤガテ五月、青葉ニ一ソウスツポリカクサレル時、

  怒リヤスイ人間ノ心モ、忘レラレナイ人ノ顔モ、

  トンロリ和ヤカニボカサレルトイイガ……

  砲臺ノ上ノ櫻ノ空一パイノ明ルイ光線、明ルイ空気、

  朝ハ青ビカリスルペトンノ急傾斜麵、雑草地帯。

  大聲ヲ張リ上ゲルト人間ノ思想ガポロリトクヅレ落チル筈ダ。

  オレハ大地ニ彳ンダママ茨ヤ棘草ノ觸感タツチヲツケテヰル。

  砲臺ノ上ノ櫻ガ咲キマシタ。

  市街ヲ見下ロシタ大砲ノ重量ヲ思フマイ。

  今シ方一シメリバラバラ雨ガ過ギタバカリダ。

  繪在眼裏的畫本

  炮台上的櫻花開了。

  陰霾的天空下孑然一人。

  花並非隻有自身的美麗,

  還有眼睛麵對季節變化的風物時捕捉到的神奇。

  炮台上的櫻花不久也將凋謝吧。

  當掩映在樹叢中的眺望台,

  不久被五月的綠葉遮蔽得更加嚴實時,

  但願動輒發怒的心靈,抑或不能忘懷的那張人臉,

  都會盡顯柔和地退色與暗淡……

  炮台上櫻花綻放的天空充滿了明媚的光線、明媚的空氣,

  清晨的混凝土坡道和雜草地帶綠光盈盈。

  人們大聲呐喊的思想理應霍然崩潰和凋零。

  我佇立在大地上,享受著荊棘和雜草的觸感touch。

  炮台上的櫻花開了。

  不要去猜度那俯瞰街市的大炮的重量。

  這不,剛才有一陣稀落的雨點劃過了頭上。

  十四號のサノリへ送る詩

  春になるが

  やつぱり消えたマドロスをくはへてるよ

  金はないし、腹も出來ないし

  やつぱり浪人者はあぶれてるよ

  オレの植えたあの溝の貓柳も

  今頃はお前の窓を銀鼠色にけぶらしてるかしら?

  月がいゝ夜で、ぶるぶるふるへる夜だと

  よくあのベツトと鏡臺だけの部屋を思ひ出すよ

  うす暗い燈がオレ達を照して、

  『火の消えたマドロスは憂鬱ね』

  お前は口紅をぬり乍ら

  一寸うは眼で見てくれた風景

  だが、それは夢にしてをかう

  マドロスにつめるタバコもないからね

  お前の橫顔は手紙がなくても忘れないよ

  あの部屋で三月一ぱい遊んでたオレのあの頃

  『火の消えたマドロスは野心が多すぎるわ』

  今もそいつが祟つて花も咲かずにぶるぶるしてるよ

  お前の親切な手紙を見て

  また北の呑気な裏街の食客になりたいものだ!

  それでなくてもサノリよ!

  いい運があれば金ピカで堂ゝとのり込めるものに……

  南はね、不景氣で

  相變らず暇な商賣を生命がけでやつてるよ。

  致十四號莎野莉的詩

  時近春天

  卻還叼著早已消失的煙鬥

  窮困潦倒,饑腸轆轆

  流浪者仍舊沒有安身之處

  我在水溝裏栽下的那些水楊

  此刻是否把你窗前輝映成銀灰一片?

  月光皎潔,瑟瑟戰栗的夜晚

  常常想起那隻有一張床和化妝鏡的房間

  昏暗的燈光映照著我

  “滅火後的大煙鬥多麽鬱鬱寡歡。”

  你邊塗口紅,邊抬頭看我

  這已成了一道風景線

  但還是把這一切當作一場夢吧

  因為已經沒有香煙再裝進煙鬥

  即使杳無音信,也不會忘卻你的側臉

  那時,整個三月我都呆在那房間

  “滅了火的煙鬥有太多的野心。”

  它如今也遭到報應,開不出花兒,一味地打顫

  看見你親切的信件

  真想去到北方,搖身變成那悠閑胡同裏的食客!

  即便不那樣也行,啊,莎野莉!

  如果幸運,或許能變成貴客,堂而皇之走進店裏……

  南方啊,一片蕭條和淒寂

  仍舊拚命地做著無所事事的生意

  Nocturne

  誰だ!ヴエランダの月の光にぬれてるのは

  誰だ!遠くの夜景に眉と心とをよせてゐるのは

  誰だ!喇叭がなつても寢るのを忘れたのは

  誰だ!ぢつとして動かない、そのくせふるへてゐるのは

  誰だ!小さな聲でまたも「ビーチュンブル」か?

  誰だ!その白い寢間著では風邪をひくぞ!

  誰だ!もうねろよ!ねろよ

  ×

  うん、寢るのは知つてる

  かたぶく月の行方は風と共にわからない

  遠い風景は君の眼にも光るだらう?

  風がもたらす回想は心にくいまでに朗らかだつた

  そして友よ

  ベツトの冷たさはわれわれに何を訓へたか?

  意誌の飛躍をどれ程待てばわれわれの手にしかと握られるか?

  國を考へるとこの針のやうな寒さ

  燈が眼に輝やくから君もはひ出して來い……

  熱情の冷たい眼で見ようぢやないか、この國の夜景

  燈がちらちらする見付橋

  そして一時でも和やかにならう

  月夜のヴエランダのこの靜けさ

  あゝ風邪を引くのは涙のあるうち

  心を落して遠い風景を見れば君はやつぱり生粹の軍人

  オレは生白い天邪鬼

  それに今夜だけはあの長靴の音も廻つて來ない

  だから思ひきり語らう、未來の天地

  夜ふけの夜風にわざと身をさらして

  オレ達の愛するものゝために

  オレ達のにくしみの人ゝを愛するために

  ×

  ビーチュンブル、ホチゴールオーイ

  チヤントルユヘ、ガルンタオーイ

  チヤガノボボルヂ、ドルナーオーイー

  チエチエメ、ヤフオーナーイ

  (蒙古民歌)

  Nocturne

  是誰,那被露台上的月光濡濕的人兒?

  是誰,那因遙遠的夜景而蹙眉和心動的人兒?

  是誰,那吹響了熄燈號也忘記了睡覺的人兒?

  是誰,那紋絲不動,卻瑟瑟戰栗的人兒?

  是誰,那又在低聲哼唱蒙古民歌的人兒?

  是誰,隻身穿著白色睡衣,大有感冒之虞?

  是誰呀?還是睡吧,睡吧!

  ×

  嗯,我知道該睡了

  但月落與清風一樣不知所去

  迢遙的風景也會在你眼裏閃閃發光吧?

  風兒催發的回憶明朗得令人生氣

  啊,朋友啊

  床的冰涼教給了我們什麽?

  要等待多久,我們才能用手攥緊那飛躍的意誌?

  一想到國家,就頓生鐵針般的寒意

  燈火在眼前閃爍,你也不妨站出來掃視!

  來看這個國家的夜景吧,用熱情而冷酷的眼睛

  還有燈火闌珊的橋梁

  或許會暫時變得平和與安詳

  這月夜的露台多麽寧靜

  感冒是因為有血有淚

  一旦凝神眺望遙遠的風景,你依舊是純粹的軍人

  我是一個蒼白的搗蛋鬼

  唯獨今夜,沒有傳來長靴的足音

  所以,就盡情地聊吧,未來的天地

  故意置身於夜半的風中

  為了我們所愛的人

  也為了去愛我們所憎恨的人們

  
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