日本を襲う「震災不況」という2次災害について、一橋大學経済研究所の小黒一正準教授はこう語る。
「このままだと日本の財政は2020年までに危機的な狀況を迎えます。國債が暴落し、日本の経済全體に深刻な影響を與えることになるでしょう」
國の借金を表す「國債」。日本は1965年以降、一部の例外の年を除いて、ほぼ毎年のように赤字國債を発行して借金を積み上げてきた。その結果、國債を含めた國の借金総額は2011年度末の段階で約997兆円に達する見込み。國債のみの殘高でも670兆円に上る。これを1年あたりの予算で見たらどうなるか。
「11年度の一般會計歳出は92.4兆円。そのうち國債などの借金は44.3兆円です。家計に置き換えたら、月収40萬円しかない世帯が37萬円の借金をしながら、月に77萬円レベルの生活をしているのと同じことです」(小黒氏)
こんな暮らしを続けたら借金はみるみるうちに膨らみ、毎月の返済も厳しくなるはず。しかし、それを実際に行ない続けてきたのが日本の財政。GDP世界第3位の経済大國だと思われていたこの國は、実は多重債務の超ダメ人間なのである。
そんな日本がこの借金地獄から抜け出すには、「収入を増やす=増稅」か、「支出を減らす=歳出削減」しかない。しかし、どちらも國民に嫌われる政策とあって、政治家はなかなか実行しようとしない。すると、どんなことが起きるのか。
日本の國債は、だいたい8割を國內の銀行や保険會社などが持っている。そのお金の出どころは國民の金融資産。つまり、國民が銀行などに預けた貯金や保険料で、國は借金をまかなっているのだ。
「このままだと遅くとも20年までに借金が日本人の貯金の総額を超えてしまう。そうなると金融機関がこれ以上國債を買えなくなる。市場関係者にクラッシュが確実と思われると國債の価格が一気に下がります。それをきっかけに、日本経済が一気に破綻してしまう可能性があるのです」(小黒氏)