2011-03-16
福島第一第二原発事故を予見していた共産黨吉井英勝衆院議員(京大工學部原子核工學科卒)の2005-07の國會質問(その3)地震で電源が破壊され冷卻システムが機能停止する危険を2006年に指摘するも、政府は「大丈夫」の一點張り マスコミも大スポンサー電力會社に「配慮」して今回起きた危険が指摘されていたのを総スルー
で、當然ながら
地震で冷卻係をサポートする電源が破壊される事態
についても、吉井英勝衆院議員は予測して、質問をしている。
第164回國會 衆議院 予算委員會第七分科會
平成十八年三月一日(水曜日)
(略)吉井分科員 今おっしゃった四分の話というのは、直下型で同時に津波が起こったときには、私はそういう発想も成り立つかと思っているんです。それをあながち否定しているんじゃないんです。しかし、チリ津波なんかのときには、そもそも周期が五十分なんですね。長いんです。そのときは、水位低下の狀態が長時間にわたるわけです、二十分近くとか、あるいはもう少し長い場合とか。ですから、それは、今おっしゃったような簡単な話じゃない。
ですから、確かに、津波が來れば、すぐその対策を遠くからの津波だったらとれるわけです。しかし、近くの津波の場合は、地震そのものの問題、浜岡でいえば冷卻水管が破損されるということも含めて考えなきゃいけない。そういう深刻な問題を持っているということを考えて、しかし、その対策をちゃんととらなかったら、例えば、原子爐停止に時間がおくれ、崩壊熱除去の取水槽の水量が不足してしまったときは、これは私、餘り大げさに物を言うつもりはないんですが、しかし、最悪の場合というのは、常にこういうものは考えなきゃいけませんから、最悪の場合には、崩壊熱が除去できなければ、これは爐心溶融であるとか水蒸気爆発であるとか水素爆発であるとか、要するに、どんな場合にもチェルノブイリに近いことを想定して対策をきちんきちんととらなければいけないと思うんです。最悪の場合は、崩壊熱が除去できなかったら、そういうことになり得るわけでしょう。広瀬政府參考人 原子爐施設の場合でございますが、まず、BWR、沸騰水型の場合には、原子爐停止時冷卻係で原子爐の崩壊熱を除去いたします。これは、原子爐から出てまいります水蒸気を用いて、蒸気タービンで原子爐隔離時冷卻ポンプを動かしまして、サプレッションプールの水で冷卻をするというやり方で、これが機能すると考えております。また、加圧水型原子爐の場合も、同様な形で補助給水係を稼働させて原子爐の崩壊熱を除去できるというふうに考えております。
吉井分科員 要するに、おっしゃったタービンを回す冷卻係が、それ自身を冷卻するのに冷卻用の海水を使うわけですよね。それが失われてしまうということは、これはそもそも、その冷卻機能が失われるということになるんです。とめた場合は比較的早くにその冷卻水量は少し要らなくなったとしても、今度は內部の崩壊熱除去にそれは必要になってくるわけです。內部の崩壊熱の除去の分が一分間六十トンということで、これが失われてきたりすると、やはり深刻な問題になるわけですね。
だから、最悪の場合は爐心溶融とか起こり得るということを念頭に置いて対策を考えなきゃいけないと思うんですが、そのことは一応念頭に置いての対策を考えるんですね。広瀬政府參考人 先ほど申し上げました蒸気タービンといいますのは、発電係のタービンではなくて原子爐隔離時冷卻係のポンプを動かすタービンでございますので、そのタービンで補助原子爐隔離時冷卻係を作動させるということになっております。原子爐の安全性のためには、停止した場合に崩壊熱を除去するということを第一に考えて対応することが重要だと考えております。
吉井分科員 ですから、原子爐をとめるまでも、とめてからも、その冷卻をする冷卻係が喪失するというのが、津波による、引き波による問題なんです。
あわせて、大規模地震が起こった直後の話ですと、大規模地震によってバックアップ電源の送電係統が破壊されるということがありますから、今おっしゃっておられる、循環させるポンプ機能そのものが失われるということも考えなきゃいけない。その場合には、爐心溶融という心配も出てくるということをきちんと頭に置いた対策をどう組み立てるのかということを考えなきゃいけないということだけ申し上げて。
というわけで
地震によって電源が失われて、冷卻システムが動かなくなると、爐心溶融、水素爆発、水蒸気爆発の危険性がある
とちゃんと2006年に指摘しているのである。
まあ、この時は、政府は
原発は絶対安全
という立場を崩してないのだが、禦存知の通り、
福島第一原発では爐心溶融と水素爆発が既に起きた
のだった。
共産黨議員の質問だからと、専門家の提言を無視し続けてきたのが
これまでの自民黨政府の立場
だった。
2006年10月には、地震後の電源について、更に突っ込んで聞いている。
第165回國會 衆戯院 內閣委員會 3號
平成十八年十月二十七日(金曜日)○吉井委員 (略) 時間が大分迫ってまいりましたので、私、政府參考人に聞く予定をしておった話は、確認する質問は先においておいて、原子力安全委員長の方に直接いきます。
例えば誌賀一號で、地すべりで高圧送電線の鉄塔が倒壊した、外部電源の負荷がなくなったから原発がとまったというのがありますね。原発がとまっても機器冷卻係が働かなきゃいけませんが、外部電源からとれればそれからも行けるんですが、それも大規模地震のときはとれないわけですね。
では、內部電源の方はどうなっているかというと、こちらの方は、実際には九九年の誌賀一號だとか、八八年の誌賀二號とか、九九年二月や九八年十一月の敦賀の事故とか、実際に、バックアップ電源であるディーゼル発電機自身が事故をやって働かなくなった、あるいは、危ないところで見つけはしたけれども、もし大規模地震と遭遇しておれば働かなかったというふうに、配管の切斷とか軸がだめになっていたものとかあるわけです。そういう中で、スウェーデンのフォルスマルク原発一號では、バックアップ電源が四係列あるんだけれども、同時に二係列だめになった、こういう事故があったことは禦存じのとおりです。
それで、日本の原発の約六割は、バックアップ電源は三係列、四係列じゃなくて二係列なんですね、六割は。そうすると、大規模地震等によって原発事故が起こったときに、本體が何とかもったとしても機器冷卻係に、津波の方は何とかクリアできて、津波の話はことしの春やりましたけれどもクリアできたとしても、送電鉄塔の倒壊、あるいは外部電源が得られない中で內部電源も、海外で見られるように、事故に遭遇した場合、ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなったときに機器冷卻係などが働かなくなるという問題が出てきますね。このときに原子爐はどういうことになっていくのか、この點についての原子力安全委員長の予測というものをお聞きしておきたいと思うんです。
それが一點と、もう一點は、機器冷卻係が働かないと當然、崩壊熱の除去ができませんから、崩壊熱除去ができないことになったときに、核燃料棒のバーンアウトの問題、これは海外でそういう例もありますけれども、こちらの方はどうなっていくのかという原子爐の安全にかかわる問題について、この場合、どのように想定して、そして審査を進めておられるか、これを伺います。○鈴木參考人 ありがとうございます。
最初の點でございますが、いろいろな事態がもちろんあり得ると思っていまして、ただ、そういう事態になったとしてもできるだけ、先生が禦心配のように、爐心が深刻な事態にならないようにというのが我々がとっている方針でありまして、そういう意味では、例えば非常用ディーゼルが萬一動かなくなったという場合には、さらに直流のバッテリーを用意するとか……(吉井委員「いや、フォルスの方はそれもだめでしたからね、二係列」と呼ぶ)フォルスマルクの場合は四係列の二係列がさらにだめになったということですね。(吉井委員「バッテリーもだめでしたから」と呼ぶ)はい、二係列ですね。
したがって、同じバックアップを多重に持つということと、多様に持つ、つまり、ディーゼルだけじゃなくて直流も持つとか、それからそれぞれを複數持つとか、そういう考え方をまず審査の段階で、設計の段階で確認しております。
地震等においてさらにそういうものが使えなくなるという事態に対しては、もう一つは、私どもとしては、アクシデントマネジメント、非常事態における管理ということで、日本の場合は同じサイトに複數のプラントがあることが多いので、ほかのプラントと融通するとか、そういうような非常に多角的な対応を今事業者に求めているところでございます。
それで、先生お尋ねの、そういう事態になったときにバーンアウト等で燃料が破損する、放射能が外部に放出されるというような事態に対してどう考えているかというお話でございますが、これにつきましては、まず、そういう事態になったときに大きな事故に至らないかどうかを設計の段階、最初の基本設計段階で安全評価をして、安全評価の結果、そういう事態に至らないようにまず確認するというのが一番の基本でございます。
と同時に、しかし、さらに非常に、通常はあり得なくても理論的にはあり得るという事態に対してどう考えるかでございますが、これについては私ども、最近、耐震安全に係る指針を改定いたしました。そういうことで、さらに耐震設計を基本的には厳しくしていきたい、こう考えておりますが、そういう中でも、さらに、殘餘のリスクと稱しておりますけれども、そういうような基準をさらに超えるような大変大きな地震が來たときには、では、どうなのかということも、これは事業者に、そういうことも評価してください、評価した結果、そういうことがまず起こらないことを數字で確認するか何らかの方法で確認してください、そういう方針で今考えております。
ありがとうございました。○吉井委員 時間になりましたから終わりますけれども、私が言いましたのは、要するに、フォルスマルク原発の場合も、ディーゼルとそれからバッテリーと両方一係列なんですよ。これは四係列あるうちの二係列がだめになったんです。外部電源もだめですから、ほかのところから引っ張ってくるというのも、もともとだめなんです。ですから、そういう場合にどういうふうに事故は発展していくものかということをやはり想定したことを考えておかないと、それは想定していらっしゃらないということが今のお話ではわかりましたので。
あわせて、バーンアウトという問題は非常に深刻です、燃料棒自體が溶けてしまうわけですから。これについては海外でチェルノブイリその他にも例があるわけですから、バーンアウトというのは深刻な問題だということで、原子力安全審査というのはまだ発展途上といいますか、この例を言ったら、事務方の方はそれはまだ想定していませんというお話でしたから、きちんとこういうことを想定したものをやらない限り、原子力の安全というのは大丈夫とは言えないものだ、それが現実だということを指摘して、時間が參りましたので、また次の機會に質問したいと思います。
終わります。
というわけで
2006年の段階で、國は「今回の地震のような大規模地震は全く想定してない」
のである。
マスコミは
福島第一第二原発事故は「想定外の地震規模による」
と言い立てているが、実際は
2005年、2006年と「既に共産黨の議員が國會で質していた」
のであり、
単にマスコミが「なかったものとして総スルー」していた
すなわち
指摘されている「想定外の規模の地震で起きうる事故の可能性」をガン無視していた
だけの話だ。
ま
大スポンサー様の電力會社の機嫌を損ねない報道
では
1960年代では「予想不可能だった」
と言っておけば、イイって話なんだろう、てか、それが
今後も電力會社から広告出稿をお願いするための「最低限の落としどころ」
なのだと思う。
電力會社に都合の悪い話は書かない
ってことで、5年間無視し続けてきたら
世界的なパニックを巻き起こす大事故が起きた
ってことだ。つまり
國も電力會社も吉井議員の國會質問を無視し続けてきたマスコミも「真実を隠蔽」しようとしてきた態度において同罪
である。今更
東電を罵る
のは、みっともないぜ、マスコミ。
ま、マスコミも
おかしな「自稱科學技術評論家」
に話を聞きに行くんなら
吉井英勝衆院議員に聞きに行け
よ。たぶん
分かりやすく、説明してくれる
と思うぜ。