「銃・病原菌・鉄」って本がある。
ヨーロッパが他の地域に比べて栄えた理由は何か。
この分厚い本の答えを要約して言えばこうだ。
それはヨーロッパ人が他の人種に比べて優れていたからじゃない。
キリスト教的労働観が他の宗教に比べて優れていたからじゃない。
単純に地理的要因。ユーラシア大陸が橫に長いとか。そんだけ。
これにならって言えばこうだ。
日本が戦後、他の地域に比べて栄えた理由は何か。
それは日本人が他の人種に比べて優れていたからじゃない。
日本人の労働観が他の人種に比べて優れていたからじゃない。
単純にラッキーだった。そんだけ。
第二次大戦後の日本の周りの狀況を見てみればわかる。
中國は毛沢東の大躍進、文化大革命で超大混亂。
韓國は軍事政権やらクーデターで大混亂。
ベトナムは対フランス戦爭、対アメリカ戦爭で大混亂。
インドは社會主義政策やら暗殺やら戦爭で大混亂。
東南アジアも獨裁政治で大混亂。
じゃあ日本は?
アメリカに安定要因をアウトソーシングしてた。
とりあえずアメリカに政治やら軍事やら難しいことはまかせておいた。
で、利益分配自民黨政権+安保の超安定システムのもとで
他の國が不安定な中で経済に邁進すれば日本だけ圧倒的成長できた。
終身雇用、公共事業、専業主婦。超安定。超ラッキー。確変狀態。
でもラッキーは逆にアンラッキーだったりする。
73年のブレトン・ウッズ體製の崩壊で官僚・福祉システムが通用しなくなってきたのに
日本はなまじ上手く行ってたからこの超安定システムに乗っかり続けた。
その間に他のアジア諸國が自由化をガンガンしだす。
中國は訒小平が1978年に改革開放。1989年の天安門事件を経て南巡講話が1992年。
韓國は1987年に民主化。1997年のアジア通貨危機を経て新自由主義政策へ。
ベトナムは1976年に南北統一。1986年にドイモイで改革開放。
インドが1991年に経済自由化。
要は日本にとっての確変が終了。
で、21世紀の日本。
超安定システムが崩れてるのは20年の不況を経てようやく分かりはじめて
小泉新自由主義にいったり政権交代してみたり基地移転してみたりしようとした。
だけど次のビジョンが何なのか分からずに、さまよいまくってる。
というかまだ超安定システムがどっかにあるんじゃないかという幻想すらまだある。
ねーよ。
つーわけで、各自生き延びられるものは生き延びよ。