3月24日22時31分配信 産経新聞
【北京=川越一】米インターネット検索大手グーグルが中國本土での検索サービスから撤退を発表したことについて、中國のネット利用者の多くはグーグルを非難する書き込みをポータルサイト掲示板などに寄せている。撤退を歓迎する聲と惜しむ聲との比率は約9対1。一貫して「法律」を盾に対応してきた中國政府の“作戦勝ち”ともいえる。
グーグルと提攜している中國の人気ポータルサイト、新浪ネットには24日までに、「外國人と外國企業は中國の法律を順守しなければならないことを理解すべきだ」といった意見が多數寄せられた。他のポータルサイトを含め、「グーグル出ていけ」「ずっとグーグルは使っていない。死んでくれてよかった。何の影響があるというのか」などと、感情的な意見も後を絶たない。
唯一、グーグル支持派の意見が目立ったのは國際情報紙、環球時報のウェブサイト。中國の検索サービス最大手「百度」の検索結果にウイルスを含んだウェブサイトが含まれていることなどを指摘した上で、「選べるとしたらやっぱりグーグルを選択する」と主張。グーグル批判を過熱させる層に向け、「あなたたちの言論は(外國人排斥に走った)清朝政府の末期の態度と何も違わない。再び鎖國をしたいのか」と諭す意見もみられた。
一方、24日付の中國各紙は、國営新華社通信の記事を引用し、事態の政治問題化を牽製(けんせい)する內容に終始した。京華時報は「グーグル問題は自由の問題とは関係がない」と論評。墓標に見立てて花が捧(ささ)げられた「グーグル中國」の建物前のオブジェ寫真を掲載する有力紙もなく、米中関係の悪化を避けたい中國政府の意向が反映された格好だ。
中國政府は1月下旬にグーグル問題が勃発(ぼっぱつ)してから一貫して、「中國國內で活動するすべての企業は、中國の法律を順守しなければならない」との主張を繰り返してきた。グーグルが殘留をちらつかせながら2カ月近くも揺れ続けたことで、中國政府にグーグルの“違法性”を宣伝する時間を與えてしまったことも否めない。