ファーストリテイリングが中國・上海で運営するユニクロ店舗で「尖閣は中國固有の領土」などと書いた紙を中國人の店長が一時張り出し、その寫真がインターネット上に掲載されて騒ぎが大きくなっている。同社の柳井正會長兼社長は20日、日本経済新聞などに対し「反日デモの襲撃を避けるため、警察からの強い指示に店長がやむなく従った」などと語った。
海外出店を加速する同社は政治・外交問題に関してどのような立場も取らない方針で、會社が貼り紙を出すように指示した事実はない。だが、寫真が掲載された15日以降、日本國內で「もう買わない」「裏切られた」などといった內容のメールや電話が19日までに1431件寄せられたという。柳井會長は「誤解が不買運動につながりかねない」と危機感を募らせている。
貼り紙を出したのは上海市郊外にあるショッピングモール內の店舗。反日デモが接近してきた15日午前、地元の警官が店長に指示し、正午ごろから約40分間張り出した。デモ隊が過ぎた後にはがしたという。
同社は中國で145店を運営しており、反日デモがピークに達した18日には60店を営業停止。14日以降の中國での売上高は予定より2割以上も落ち込んでいる。ただ「中國で出店する方針は全く変えない」(柳井會長)とし、今年度も80店を新たに出す計畫だ。