個人資料
正文

(2007-05-18 22:43:14) 下一個
 15、6年前、北京の學生寮に住んでいた時のこと。ある夜、部屋の明かりを消してベッドに橫たわると、部屋の隅に小さな白い光が見えた。電気をつけて近寄ってみると2cmほどの艶のない真っ黑な蟲がいて、寫真でよく見る頭の部分が赤い日本の源氏蛍と違って、なんだか醜い様子だけれど、きっと蛍の一種なのだろうと思った。こんな都會に、しかも、近くに水辺があるわけでもない寮の部屋の中にどうして蛍が紛れ込んだのろうと不思議に思ってなんだかどきどきした。明かりを消してベッドに戻りしばらく待つと、光はゆっくりと浮かび上がり、部屋の中を舞い始めた。
 その蛍は二日前に亡くなった子供なんじゃないだろうかと私は思った。この世を離れる前に名殘を惜しんでいるのかもしれない。或いは小さな光は遠慮がちにその存在を私に伝えようとしているのかもしれない。ここにいますよ、とでも言いたげに、ふわふわと漂っている。
 私は小さな光を胸に抱きながら眠りについた。
 翌朝、蛍はもう姿を消していた。
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