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正文

金美齡--垂危的哀嚎

(2008-04-03 17:54:20) 下一個
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080404/chn0804040322000-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080404/chn0804040322000-n1.htm

【優先席から】
金美齢 

「不満の春」にも花は咲く
2008.4.4 03:20
 人の世に何が起ころうが、花は咲く。満開のさくらを前に、傷心の身は呆然(ぼうぜん)と立ち盡くし、上野の花見に招かれていたのをすっかり忘れ、失禮してしまった。

 台灣の総統選で民進黨の候補、謝長廷氏が大敗した。初期の世論調査、25ポイントの大差を詰め、終盤は並んだかに見えた。合言葉は「逆転勝利」。國民黨の候補、馬英九氏も守勢に転じ、焦りを見せていた。

 グリーンカード問題、中國との共同マーケット政策、馬氏の失點が重なった。アメリカの永住権を持ち中國に傾斜する馬氏を総統にするのは台灣人の選択ではない。

 流れを決定的に変えたのはチベットの騒亂。ラサで発生した抵抗を中國政府は軍や警察で抑え込んだ。ダライ・ラマ14世は、「文化的虐殺が起きている」と記者會見で強く抗議した。100人以上の死者が出たとも言われている。日本の友人は口をそろえて「神風が吹いた」と言い、歐米の民主主義諸國はこぞって中國を非難した。

 國民黨の獨裁と白色テロに苦しんだ台灣人が、中國のチベット製圧に危機感を募らせるのは理の當然。これで「勝った」と斷言した雑誌編集長もいた。

 危懼(きぐ)がなかったわけではない。投票前日、在台チベット人のシットインを聲援に出かけたが、ガラガラの現場に座り込みの女性が1人。顔見知りの台灣人だった。夜には大勢集まると言うので、民進黨の集會に出た後、もう一度寄ってみた。晝にはいなかった僧侶が數人、支持者らしき人たちが10人ほど、通りすがりの者がチラホラ。

 チベットは遠く、台灣人は無関心だった。50年の長きにわたって中國人に抑圧された苦難の記憶もすっかり消えたのか、連帯の気配はない。すぐ近くに國民黨が集まって気勢を上げていた。周りには大型バスがずらりと並び、地區ごとに動員が掛けられていたのが見え見えだった。民進黨會場での熱狂。チベットへの無関心。國民黨支持者からの憎悪の視線。ジェットコースターに乗った気分だ。

 勝負は開票後1時間でついた。台灣獨立建國連盟の事務所に爆竹の音が聞こえてきたのはその20分後、近くに國民黨係の建物があり、狂喜亂舞でもしていたかのような騒々しさだった。

 翌日、東京に戻る飛行機の中、ふいに「われらが不満の冬」を思いだした。大學の卒論でジョン・スタインベックのテーマの変遷をたどり、この最後の小説を考えてみた。シェークスピアの「リチャード三世」に出てくる「われらが不満の冬」という言葉には鬱屈(うっくつ)した思いが詰められていた。「怒りの葡萄(ぶどう)」「エデンの東」で知られるアメリカの大作家が、數々の賞の仕上げにノーベル文學賞を受賞したのはこの作品の発表後であった。

 怒り、鬥(たたか)い、家族、憎悪、諦(あきら)め、そしてかすかな希望。多彩なテーマと話題作を提供しながら、作家の晩年は決して恵まれたものではなかったという。半世紀にわたる台灣獨立への道も、怒り、鬥い、連帯、希望、そして「われらが不満の春」を迎えた。一體全體誰が敵なのか。「怒りの葡萄」にも同じような慨嘆があったと記憶している。

 それでも花は咲く。「優雅な生活が最高の復讐(ふくしゅう)」とスペインの諺(ことわざ)は言う。今日4月4日は日台交流サロンのお花見。8階の優先席からワイン片手に禦苑を見下ろし、この世の憂さを吹き飛ばそう。(きん・びれい)
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