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夜中の2時に目が覚めた。胸が石でも詰まっているように重く苦しかった。しばらく考えて、ああ夢のせいだ、と思い出した。
私は野外で大きな布袋にゴミを詰めている。そこへ薄汚れた子犬がやってきた。茶色と黑と白のぶちだ。私はその子犬をひょいと持ち上げて袋に入れた。入れるとき、ああ、首輪をしているな、飼い主がいるのかもしれない、と思いはしたけれど、あんまりみすぼらしい犬なので、何の価値もないと思ったらしい。そこで、そのまま無造作に袋に放り込んだ。袋はもういっぱいで口が閉まらないので、私は足で子犬を踏みつけて、ぎゅうぎゅうと押し込んだ。
ふと気付くと、傍らに少年が立っている。私は直感的に、この少年が子犬の飼い主だと知った。袋の口を覗くと、子犬の首が不自然な形に折れまがって、毛の生えた皮膚の內側で折れた骨が突き出ているのがわかる。ああ、どうしよう、取り返しのつかないことをしてしまったと、私は狼狽した。
少年は立ち去った。私はしばしその場に立ち竦み、このことを正直に少年に伝えるべきかどうか考えた。そしてとうとう子犬を袋から出し、少年の元へ赴き、泣きながら謝った。きっとこの子犬には一生介護が必要となるだろう、その経済的負擔をこれからずっと私が負うことになる、その覚悟を胸に私は泣きながら謝った。
ところが、少年は私の言葉にはちっとも興味を示さず、彼の傍らに建っている塔を黙って眺めている。その4、5メートルほどの円錐形の塔は少年が創ったもので、三日月のボートがぶら下がっていたり、星の模様が描かれていた。塔は神々しく宇宙のようだと思った。