「この先の人材難を見越して考えているのが、介護ロボットの開発です。現場で職員をアシストするようなロボットが開発されれば、少ない人數でも効率的に介護できるようになります。具體的には、顔認証システムと醫療のデータベースを連動させて、今、その利用者がどのような精神狀態にあるのか、快調なのか不快なのか、職員が気付くことができるシステムです。???(中略)加えて、直接觸れなくても、カメラで撮影するだけで脈拍、呼吸、血圧が測れるシステムもメーカーと開発を進めています」(「日本人の生き方を変える7人の起業家」(森部好樹、日経BP社、2014年)より引用) 続く...
ソフトバンク(9984.T: 株価, ニュース, レポート)の「Pepper(ペッパー)」のような、感情認識機能を搭載した人型ロボットが介護分野で実用化される時代がすぐそこまで來ているようだ。
前述した13年の実質GDP成長率の內訳で、民間企業の設備投資の寄與度が低かった(0.3%)ことを思い出していただきたい。設備投資が伸びなかったのは需要不足の結果と一般には思われているが、そればかりではあるまい。需要変化の中で陳腐化した設備が遊休化する一方で、上記に例示したような従來の業務のあり方を根本的に変革し、労働生産性を向上させるような設備投資は不足していたのではなかろうか。
労働需給が餘剰で賃金も低下した局麵ではそれでも済んだであろう。しかし、人手不足と賃金上昇圧力が強まり始めたこれからは、これまで労働集約的だった事業分野でも省力化のための設備投資が進むことが期待できる。
<1萬8000円を展望できるステージへ>
最後にインフレと株価の見通しについて觸れておこう。足もとまでの消費者物価などの上昇が円安による輸入物価上昇要因に負うところが大きかったことは各種の分析で確認されている。円安の動きが一服したことで多くの民間エコノミストはインフレ率の鈍化、黒田日銀総裁の消費者物価プラス2%目標(除く消費稅率の影響分)は依然達成が困難と予想している。
しかし、労働需給のひっ迫を背景に賃金上昇トレンドが強まれば、それが今年後半以降、円安にとって代わる物価上昇要因として働く可能性がある。実際、賃金と物価の相関関係は比較的強いことが知られている。
株価については昨年1月11日掲載の本コラム「1―2%インフレなら株価はどこまで回復するか」で「資本利益率が03―07年の平均値まで回復すると、株価理論値は59.6%上がり、TOPIXでは1312、日経平均では1萬5079円」という水準を中期的な目途として提示した。
企業利益も株価も、ほぼこの予想水準前後まで回復した現在、日本経済が上記の課題を克服しつつ景気回復が続けば、資本収益率の03―07年の平均値超えにともなって、1萬8000円近辺への上昇が中期的に展望できるステージに入ったと思う。 続く...
*竹中正治氏は龍穀大學経済學部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、國際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職、経済學博士(京都大學)。 最新著作「稼ぐ経済學 黃金の波に乗る知の技法」(光文社2013年5月)。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外國為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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