創立1636年、アメリカ建國よりも古いハーバード大學の歴史上、履修學生の數が最高記録を更新した授業がある。政治哲學のマイケル・サンデル教授の授業「Justice(正義)」である。大學の劇場でもある大教室は、毎回1000人を超える學生がぎっしり埋まる。あまりの人気ぶりにハーバード大學では、授業非公開という原則を覆し、この授業の公開に踏み切った。ハーバード大學の授業が一般の目に觸れるのは、史上初めてのことである。
サンデル教授は、私たちが日々の生活の中で直麵する難問において、「君ならどうするか?何が正しい行いなのか?その理由は?」と、學生に投げかけ、活発な議論を引き出し、その判斷の倫理的正當性を問うていく。マイケル・ジョーダンやビル・ゲイツはその仕事で、すでに社會に貢獻しているのになぜ稅金を納めなければならないのか。また代理出産、同性愛結婚、人権など最近のアメリカ社會を揺るがす倫理問題も題材となる。絶対的な答えがないこのような問題に、世界から選りすぐられた、さまざまな人種、社會的背景を持った學生が大教室で意見を戦わせる授業は、ソクラテス方式(講義ではなく、教員と學生との闊達な対話で進められる授業形式)の教育の最高の実例と言われている。
世界の若き頭脳たちの堂々たるディベート能力、知的探求心、考える力など、世界最高レベルの知的エリートの能力は、私たちに強烈な知的刺激を與える。さらには、宗教、人種、貧富など複雑に入り組んだアメリカ社會の構図を読み解く糸口にもなる。また副音聲による英語放送によって、今のアメリカの生きた英語を學ぶ絶好の教材ともなるはずである。
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