ある日 カナリヤが告げた 森の樫の木の下に 本當のことが埋まっているよ、とそこで私はシャベルを擔いで 意気揚々と 本當のことを掘り起こしにでかけた落ち葉の積もる柔らかな土を さくさく掘ると 死體が埋まっていた合點した私は それに再び土をかぶせ しっかりと隠す死體は暖かな土の布団にくるまれて 刻々と朽ちていく それはやがて土となり、幹をつたい、葉となり、枝となるだろう森の樫の木の下で私が朽ちていく
-------梶井基次郎は、桜の樹の下に死體が埋まっていると言ったけれど。